34年未解決の殺人事件の容疑者特定、なめた封筒からDNA 米

34年前に殺害されたアナ・ケーンさん。遺伝子系図の手法により警察が犯人を特定した/WPVI

2022.08.28 Sun posted at 10:13 JST

(CNN) 30年以上にわたる問いかけと苦悩を経て、タミカ・レイズさんは遂に誰が母親を殺害したのかを知った。

26歳のアナ・ケーンさんの遺体が米ペンシルベニア州レディング近くの木立ちで発見されたのは、1988年10月23日。遺体の首には荷造り用のひもが巻き付いていた。捜査の結果、別の場所で絞殺され、木立ちの中に遺棄されたことが分かった。

地元紙は1面でケーンさんの死に関する情報提供を呼び掛ける記事を掲載した。殺害から1年3カ月後の90年2月、同紙宛てに匿名の手紙が届く。「関係する市民」からのその手紙には、犯人しか知らないと思われる情報が記されていた。

手紙を書いた人物は、封筒をなめた時に自分のDNAを残していた。唾液(だえき)から採取したDNAは、ケーンさんの衣服に残っていたものと一致したと、当局者が明らかにした。

しかしそれから数十年が過ぎても、容疑者が誰なのかは突き止められなかった。2022年になりようやく、ペンシルベニア州警察は遺伝子系図の鑑定を用いて殺人犯を特定。地元に住むスコット・グリムという男にたどり着いたと、先ごろの会見で発表した。

犯人と割り出されたスコット・グリム容疑者は2018年に死亡していた

グリム容疑者にはそれまで逮捕歴がなく、本人を特定できるものは何もなかった。しかし家系図作成サイトにアップロードされた遺伝子情報の中に当該のDNAと一致するものを発見。そこから遺伝子系図を構築し、グリム容疑者にたどり着いた。近年、遺伝子系図を用いたこの手法は、いくつかの未解決事件での犯人特定に一役買っている。

グリム容疑者は18年、58歳で死亡していた。事件や事故による死ではないとみられる。

今では答えを手にしたレイズさんだが、祖母のことを思うと悲しい気持ちになる。祖母は娘の事件が解決したのを知る前に死去していた。

レイズさんにはグリム容疑者が生きていたら聞いてみたいことがいくつもある。なぜ懸命に子育てしようとする若い女性を殺したのか? 彼女を愛する家族の存在を知った時、どんなことが頭に浮かんだのか? 

もう答えは得られないと理解しつつも、レイズさんは自身の家族が母親を殺害した人物についてようやく知ることができたのをうれしく思っている。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。