ウクライナ・キーウ(CNN) ウクライナは24日、ソ連から離脱して31年目の独立記念日を迎える。これまでは毎年、祝賀行事やパレードが行われていたが、今年の独立記念日はロシアの侵攻開始から半年目と重なる。
首都キーウなどではロシアによる攻撃を想定して、イベントが禁止になった。
パレードに代わり、ロシアが首都制圧を試みて失敗した証しとして、ロシア軍から奪った戦車などの軍事車両がキーウのフレシチャーティク大通りに展示されている。
独立記念日の前日、フレシチャーティク大通りには大勢の人が集まった。さびついた戦車によじ上る子どもたちや、車両の残骸の前で記念写真を撮る人たちもいた。
8歳の息子を連れて「鉄くずパレード」を見に来たという女性は、ロシア軍の戦車によじ上る息子を見守りながら、キーウの住民の多くは戦争のことを忘れていると語り、この展示は戦争のことを思い出させる良い機会になると話した。
戦闘の最前線にいる夫からは、キーウを離れて別荘に移るよう促されたが、女性はそれを拒んだといい、たとえ「(24日に)キーウがミサイルで集中攻撃されたとしても、私たちは離れない」と語気を強めた。
自宅には「放射能汚染に備え、ミサイルに備えて」非常用袋を用意し、十分な衣類なども蓄えていると女性は説明。「私たちはもう、簡単にはおびえなくなった」と打ち明けた。
「(独立記念日の)お祭り気分にはならない」と女性は言い、夫や兄弟が戦線にいることを考えると悲しみを感じると話す。
ウクライナ国旗を持った別の女性(35)もCNNの取材に応じ、ロシアと戦っている家族がいると語った。「父は戦線にいて、親類の多くも戦線にいる。だから明日はお祭りではなく、独立をたたえ、感じる。今回の感情はこれまでの30年とは違う」
ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は23日、ロシア軍が独立記念日を狙ってミサイルなどの攻撃を仕掛ける可能性があると警告。米政府も同日、米国人に対して直ちにウクライナを離れるよう呼びかけた。
CNNがキーウで話を聞いた人の多くは、ロシアによる攻撃の可能性について不安を口にした。
「私たちは明日ここへ来る予定だったが、明日については警報がたくさん出ているので、自宅にとどまることにした」。妻とともにパレードを見物していた男性(51)はそう語り、「私たちは鉄くずのパレードを見に来た。(ロシアに)私たちの祝典を台無しにされたからだ。去年の独立記念日はここで(ウクライナ軍の)パレードを見ていた。あれは素晴らしかった」と振り返った。
29歳の男性は「明日はお祭り気分にはなれない」と話し、首都に対するミサイル攻撃が不安だと話している。
68歳の女性は「ロシア人に対する憎しみが大きくなりすぎて張り裂けそう」と語った。勤務先のクリニックからは、今後数日は在宅で勤務するよう指示されたといい、「私は戦争の間も(ずっと)働いてきた。砲撃の中で帰宅することもあった」と話す。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領については、まるで「手投げ弾を持ったサル」のように予想がつかないと形容し、「彼が実際に何を考えているのか誰にも分からない」と訴えた。