ツイッター、ロシアと中国の影響に脆弱 元幹部が内部告発

米ツイッター本社=4月26日、米カリフォルニア州サンフランシスコ/Amy Osborne/AFP/Getty Images

2022.08.24 Wed posted at 09:54 JST

ワシントン(CNN Business) ツイッターは外国政府の悪用に極めて脆弱(ぜいじゃく)で米国の国家安全保障を脅かしており、活動中の外国人スパイが従業員に名を連ねている可能性すらある――。ツイッターの元幹部がそんな内部告発を行い、CNNや米紙ワシントン・ポストが23日に告発内容を報じた。

告発者のピーター・ザトコ氏は2020年11月から今年1月に解任されるまでツイッターのセキュリティー責任者を務めた人物。同氏によると、脆弱な情報セキュリティー管理に判断ミスが重なり、ツイッターはたびたび外国の諜報(ちょうほう)活動のリスクにさらされてきたという。

信用できない中国筋から資金を受け入れたり、ロシアの検閲と監視の要求に応じるよう提案したりするなど、パラグ・アグラワル現最高経営責任者(CEO)を含むツイッターの幹部は短期的成長を追求するあまり、問題を認識しながらユーザーや従業員をリスクにさらしたと、ザトコ氏は主張している。


米ツイッターの元幹部が内部告発を行いツイッターが米国の国家安全保障を脅かしているとした/Adobe Stock

CNNは今回の記事で触れた疑惑に関する個別の質問や、告発内容全体にかかわる50以上の質問についてツイッターにコメントを求めた。ツイッターは外国の諜報活動のリスクに関するCNNの質問に答えなかったものの、ザトコ氏の告発全体については「矛盾や不正確な点が多く、重要な文脈が欠落している」と述べた。

ザトコ氏はツイッターの経営陣が重大な脆弱性を隠ぺいし、市民をだましたとする200ページ近い告発書を連邦議会や司法省、連邦規制当局に提出しており、国家安全保障関連の主張はその一部となる。

告発者のピーター・ザトコ氏

ザトコ氏は長年の経験を持つ情報セキュリティーの専門家で、グーグルや電子決済サービスのストライプ、国防総省で幹部を務めた。ツイッター社内で数カ月にわたり警鐘を鳴らしたものの成功せず、先月当局に告発書を提出した。

告発内容には、ザトコ氏の解雇の少し前、米政府がツイッターに外国情報機関のために働いている従業員が1人以上いるとの具体的証拠を提供したというものもある。告発書ではツイッターが米政府の情報提供に基づき対応を取ったかどうか、この情報が信頼できるものなのかには言及していない。

またザトコ氏の告発書によると、ロシアのウクライナ侵攻の数カ月前、当時ツイッターの最高技術責任者(CTO)だったアグラワル氏はロシアに大きく譲歩する用意があったとみられる。


パラグ・アグラワル氏/Kevin Dietsch/Getty Images

アグラワル氏はザトコ氏に対し、広範な検閲や監視につながりかねないロシアの要求にツイッターが応じることを提案したという。告発書ではアグラワル氏の提案内容について詳しく触れていないが、ロシアは昨年夏、ロシアに現地事務所を開設するか、さもなければ広告を禁止する可能性があるとIT企業に圧力をかける法案を可決。欧米の専門家からは、米国のIT企業に対するロシアの影響力が増大すると指摘する声が上がっていた。

中国に関しては、ツイッターが匿名の「中国の組織」から資金を受け入れたと主張。この組織は現在、中国の検閲を違法に回避してツイッターを閲覧・利用している中国人の身元判明につながりうる情報にアクセスできる立場にあるという。

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