対人距離の確保はもう不要 米CDC、新型コロナ対策の方針転換

新型コロナワクチンを接種する人=5月5日、米ロサンゼルス/Frederic J. Brown/AFP/Getty Images

2022.08.12 Fri posted at 09:51 JST

(CNN) 米疾病対策センター(CDC)は11日、新型コロナウイルス対策のガイドラインを改訂し、隔離やソーシャル・ディスタンシング(他人との距離の確保)といった行動制限から離れて、重症者を減らすことに重点を置く方針を打ち出した。

改訂版のガイドラインでは、感染リスクを抑えるために他人との間に6フィート(約1.8メートル)以上の距離を置くべきとしたソーシャル・ディスタンシングの勧告がなくなった。

パンデミック(世界的大流行)が始まった当初から続けてきたこの方針の転換は、2年以上を経て、状況が大きく変化したことを物語る。米国ではほぼ全国民が、ワクチン接種や過去の感染、あるいはその両方を経て、少なくともある程度の免疫を獲得した。

CDCの専門家は11日、「このパンデミックの現在の状況は、過去2年間の状況とは大きく異なる」と語った。

新しいガイドラインでは、接触者の特定は病院や介護施設入所者など高リスクグループに限定すべきだと規定。介護施設や刑務所などリスクの高い特定の環境を除き、定期的な新型コロナ検査を重視しない方針を示した。

新型コロナの検査場を示す掲示板=1月21日、米ニューヨーク市マンハッタン

接触者であっても感染していなければ隔離は勧告していない。

一方で、症状がある人や濃厚接触者には引き続き検査を奨励。陽性者に対しては少なくとも5日間外出を避け、周囲に人がいる場所では10日間はマスクを着用するよう求めている。国内の約半分の地域では、屋内でのマスク着用の勧告を据え置いた。

重症者に対する隔離勧告の内容も改訂し、呼吸が浅くなるといった中程度の症状がある場合や入院していた場合は、少なくとも10日間、外出を避ける必要があるとした。免疫力が低下している人が感染した場合、隔離を終わらせる時期については医師と相談する必要がある。

新しいガイドラインは、今後長期間にわたって新型コロナウイルスと共存することになる可能性を認めた上で、通勤や通学への影響を最低限に抑えながらコロナと共存する生活を支えることを目的としている。また、リスクを重視する姿勢を強め、重症化のリスクがある個人に対して他人よりも気を付けるよう求めた。

アネンバーグ公共政策センターの最新世論調査によると、米国人の54%は屋内でもマスクを着けていないと回答。パンデミック前の日常に完全に戻ったという回答は約40%に上り、1月の16%から大幅に増えた。

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