中国、台湾上空を通過するミサイルを初めて発射 ペロシ氏訪台に報復

中国が台湾上空を通過するミサイルを初めて発射した/Eastern Theatre Command/Reuters

2022.08.05 Fri posted at 14:20 JST

(CNN) 中国は4日、台湾上空を通過するミサイルを初めて発射したことを明らかにした。日本の島しょ付近には飛翔(ひしょう)体5発が落下し、日本の指導者は中国政府に抗議を申し入れた。

アジアを歴訪中のペロシ米下院議長は5日午前、岸田文雄首相と台湾海峡に焦点を当てた会談を行った。台湾海峡では中国がペロシ氏の今週の台湾訪問に抗議し、空と海の演習を実施している。

中国は1990年代の台湾海峡危機の際をはじめ、以前にも台湾周辺の海域に向けてミサイルを発射したことがある。

だが、ミサイルが台湾上空を飛行したことは重大なエスカレーションであり、米当局者は中国がさらなる行動に出る可能性を警告している。

米国家安全保障会議(NSC)のカービー報道官は4日、「我々は中国がこうした措置を取ることを予測していた」と説明。「こうした行動が続くものと予想している。中国は今後数日、反応を続けるだろう」と述べた。

米国の空母はさらに数日間、「状況を監視」するため台湾周辺にとどまるという。

東京で記者会見したペロシ氏は5日、中国は「台湾を孤立」させようとしていると批判し、世界保健機関(WHO)のような国際機関からの台湾の排除に言及した。今回の訪台については、現状の変更ではなく現状の維持が目的だったと説明した。

握手を交わすペロシ米下院議長(左)と岸田文雄首相

岸田氏は4日、中国の軍事演習は「わが国の安全保障および国民の安全に関わる重大な問題だ」と述べ、演習の即時中止を要求。日本と米国は「台湾海峡の安定を維持するため、緊密に連携していく」とも表明した。

中国は4日、台湾周辺で軍事演習を開始し、台湾の北東部と南西部の近海に向けて複数のミサイルを発射した。

中国の軍事専門家は国営中国中央テレビ(CCTV)に対し、通常型ミサイルが台湾本島上空を飛行したことを確認。その中には台湾の防空ミサイルでカバーされる空域も含まれると述べた。

北京の国防大学で戦略学の教授を務める孟祥青氏は「我々は米国のイージス戦闘システムの監視下で目標に着弾させた。これは中国軍が水上にある長距離目標をたたく際の困難を解決したことを意味する」としている。

台湾国防部は4日遅くの声明で、ミサイルは大気圏外を通過したため、台湾に脅威は及ばさなかったと説明した。

台湾国防部によると、ミサイルは台湾の東沖の海上に落下することが予想されたため、当局は防空警報を発動しなかった。情報収集能力を保護する観点から、ミサイルの軌道についてこれ以上の情報は公表しない方針という。

日本の防衛省は4日、弾道ミサイル5発が日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下し、そのうち4発は台湾上空を飛行したものと推定されると明らかにした。

中国がミサイル発射の軍事演習、ペロシ氏訪台後

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