観光客受け入れ再開の日本、外国人が戻らない理由は?

浅草の浅草寺を訪れた人々=6月29日/Tomohiro Ohsumi/Getty Images

2022.08.01 Mon posted at 14:19 JST

(CNN) アジア諸国が段階的に外国からの旅行者受け入れを再開している。だが観光客はなかなか戻らず、特に日本はその状況が際立っている。

日本は今年6月、夏の観光シーズンを前に受け入れ再開を大々的に発表した。入国管理局の統計によると、6月10日~7月10日の間に入国した観光客は約1500人。コロナ禍の前の2019年に比べて95%減った。

かつて観光地としてあれほど人気があった国に、なぜ観光客がなかなか戻らないのか。

日本が現時点で受け入れているのは個人ではなく団体の観光客のみ。欧米人は自由を好み、決まった日程に従って行動したがらない人が多いため、これは大きな問題だった。

「私たちにベビーシッターはいらない」。かつて日本を頻繁に訪れていた米ニューヨークのメリッサ・ミュジカーさんはそう言い切った。

夫とともに6回ほど東京を訪れたことがあるというミュジカーさん。22年に受け入れが再開されたと聞いて早速再訪を計画したが、制限を理由に断念した。代わりに次の休暇は韓国で過ごすことにしたという。

「隔離は望まない。それは大きな要因だった。ただ行ってブラブラして買い物して、高いすしが食べたいだけ」とミュジカーさん。ビーチよりも都会が好きなこと、コロナ禍の間に韓国ドラマにはまったことも、ソウル旅行を決めた理由だった。

完全解放に踏み切らない日本の政策の対象はビザだけではない。多くの場所で今もマスク着用が求められ、団体ツアーは料金が高く、入国時には隔離が義務付けられていることから、売り込みは難しい。

訪日客向けの会員制サービス「Arry」創業者のケイティー・タム氏によると、コロナ禍の前までArryの会員は香港や台湾、韓国、シンガポールなどアジアからの旅行者が多数を占め、日本を年に何度も訪れたり、連休を利用して気軽に旅行したりしていたが、20年から同サービスは休止状態を余儀なくされている。

京都市の八坂神社は普段は観光客でにぎわう

Arryは米国のオバマ元大統領が訪れたすきやばし次郎や、最新のレストランランキングでアジア部門のトップになった傳(でん)など東京の人気レストランの予約も代行している。

現時点で予約の問い合わせがあるのは、商用目的のビザを取得できた少数の会員に限られている。非居住者が個人で日本に入国できる手段は現時点でそれしかない。ただ、混雑が少なくなったおかげで以前は予約が取れなかったレストランを予約できることもある。

それでも飲食店の多くは地元客でにぎわっているとタム氏は話す。つまり、外国人観光客が戻って来られるようになった時にも、そうした人気店は営業を続けているはずだ。

出入国在留管理庁によると、現時点で最も多いのはタイと韓国からの観光客で、6月以来、それぞれ約400人が訪れた。米国からの観光客は150人にとどまった。

19年、日本にとって最大の観光市場は925万人が訪れた中国だった。

しかし中国は今、実質的に世界から切り離された状態にあって、国民にも外国人にも厳格な隔離の手順が定められ、観光は停止状態にある。

その影響は日本だけにとどまらない。中国人観光客に人気があったオーストラリア、タイ、シンガポール、韓国も、多額の観光収入が失われている。

東京スカイツリーの広報によると、初めて外国人のツアー団体が展望デッキに戻って来たのは6月27日だった。参加者は香港からの観光客だった。香港の住民も帰国の際にホテルでの隔離が義務付けられるが、それでも中国本土よりは海外旅行がしやすい。

いずれ日本が個人旅行客の受け入れを再開すれば、観光客が戻ってくる可能性は大きい。コロナ禍でためたお金を散財する「リベンジ旅行」の目的地として、日本は今も人気が高い。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。