中絶禁止のフィリピン、危険な代替手段に頼らざるを得ない女性たち

中絶反対のための集会の様子=2011年8月19日、フィリピン・マニラ/Dondi Tawatao/Getty Images

2022.07.20 Wed posted at 16:05 JST

(CNN) カトリック教徒が多数を占めるフィリピンでは、1世紀以上前から人工妊娠中絶は法で禁じられており、中絶したことが判明した女性には2~6年の懲役が科される。

また中絶手術を行ったり、中絶を手伝った医師や看護師らも国から厳しい処罰を受ける。

そのためフィリピンでは多くの女性が、リスクを顧みず、望まない妊娠や実行不可能な妊娠に対し、中絶以外の方法を模索する。

フィリピン安全な中絶支援ネットワーク(PINSAN)の広報担当クララ・リタ・パディラ弁護士によると、フィリピンの妊娠中絶法の「漸進的な解釈」は存在するが、レイプや近親相姦(そうかん)といった深刻なケースや、妊婦の命を救うためであっても明確な適用除外規定はないという。

PINSANの調査によると、フィリピンでは2020年に126万件の人工妊娠中絶が行われ、その数は今後さらに増えると見られている。

建物の側面に貼られた中絶反対のポスター=フィリピン・マニラ

パディラ氏によると、中絶を行った女性の大半は貧しい家庭の出身で、その多くが25歳未満だという。法的なサービスが受けられない女性たちは、助産師、神霊治療家、訓練を受けていない医師らが仮設診療所で行う危険な地下中絶手術に頼ることが多い、とパディラ氏は指摘する。


フィリピンの首都マニラの高層ビルとスラム街/Alexpunker/iStockphoto/Getty Images/FILE

中絶法に反対する人々は、フィリピンは今こそ、中絶法の「非人道的な規定」を削除し、女性たちの命を救うために中絶を非犯罪化すべきだと主張する。

フィリピンのマルコス大統領は、まだ大統領候補だった今年1月上旬に行われたインタビューで、レイプや近親相姦などの「深刻なケース」に限り、妊娠中絶を合法化する意向を示した。

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