(CNN) スリランカのラジャパクサ大統領がモルディブを離れ、シンガポールに空路で向かったことがわかった。スリランカ・コロンボの高位の治安筋がCNNに明らかにした。同国では大統領が正式に辞任しないことに怒りが高まっている。
この治安筋によると、シンガポールのチャンギ空港には14日夜に到着する予定。ラジャパクサ氏は先に、コロンボで近親者が手配するプライベートジェットを待っていたが「実現しなかった」という。
この治安筋は、ラジャパクサ氏が「サウジアラビアのフライト」でモルディブの首都マレを離れたと語った。これは現地時間同日午前11時半にマレを出発したサウジアラビアのフラッグキャリア、サウディアの788便とみられる。
CNNはシンガポール外務省とサウディアに問い合わせているが、返答はない。
ラジャパクサ氏は13日朝にスリランカを逃れ、マレに1日滞在した。同氏は以前、13日に辞職すると表明していた。
だが同日になっても、スリランカ議会の議長には正式な辞任の書簡が届いていない。亡命したとみられるラジャパクサ氏はウィクラマシンハ首相を大統領代行に指名しており、ラジャパクサ氏の真意に対して疑念が広がっている。
同氏が出国した直後、抗議する人々がウィクラマシンハ大統領代行のオフィスを襲った。これに対しウィクラマシンハ氏は全土に夜間外出禁止令を出す対応をとった。
多くのデモ参加者は大統領と首相が辞任するまでデモを続ける構えを見せている。
高位の軍関係者はCNNに対し、ウィクラマシンハ氏が幹部軍司令官の委員会を指名し、全土で「法と秩序の回復」をするように命じた。
警察によると、14日朝までに商都コロンボの通りは落ち着きを取り戻した。だが、同国が危うい状況にある兆候はあらゆるところに存在する。
壊滅的な燃料不足の影響で、ガソリンスタンドの近くの通りでは車が列をなしたまま乗り捨てられている。市民は車で通勤できないため自転車を利用。中には車中で寝ている人々もいる。
警察によると、警官1人が抗議デモで重傷を負い病院で手当てを受けた。陸軍の軍曹1人も負傷したという。
国連のグテーレス事務総長は14日、スリランカ情勢を注視していると述べ、「平和的で民主的な移行」を呼びかけた。
同氏はツイッターで「衝突や抗議する人々の苦悩の根本原因に対処することが重要だ」「すべての当事者のリーダーに平和的で民主的な移行のために妥協の精神を持つように呼びかける」と述べた。