上海市民、猛暑の中で集団検査 再度のロックダウン恐れる住民

封鎖用バリケードの開口部からのぞく上海の住民=10日、中国・上海/Qilai Shen/Bloomberg/Getty Images

2022.07.14 Thu posted at 13:45 JST

(CNN) 中国の金融都市・上海で感染力の強い新型コロナウイルスの派生株が確認され、数百万の住民が12日、猛暑の中で検査の行列に並んだ。症例数が再び急増する中で、住民は再度のロックダウン(都市封鎖)に対する恐怖を募らせている。

上海当局は市内16地区の住民に対し、12~14日の間に2回の検査を受けるよう命じた。検査義務付けは、感染力の強いオミクロン株の派生系統「BA.5」の市中感染が8日に確認されたことを受けた措置。

BA.5は世界で急激に感染が拡大しており、「ゼロコロナ」戦略に固執する中国政府は重大な脅威とみなしている。

BA.5は首都・北京や北東部の港湾都市・大連、中部の西安など複数の都市で報告され、西安は7日間、封鎖状態に置かれた。

今回は、中国全土が熱波に覆われる中での感染拡大だった。上海は10日の気温が40度に達し、当局が最大級の警戒を呼びかけた。

新型コロナの検査のために列をなす上海の住民ら=10日、中国・上海

住民が猛暑の中で何時間も行列に並ぶこともあり、検査に当たる職員は全身を防護具で覆っている。

中国のSNSでは、防護服姿の職員が氷の上で横になる写真が拡散した。専門家は、屋外で防護服を着て長時間過ごす職員の熱中症を危惧している。

上海では今月上旬、カラオケバーに関連した集団感染が発生して感染者が急増。過去10日間で報告された症例数は400例を超えた。

上海の住民はコロナ対策のロックダウンで外出できない状態が2カ月間続き、数週間前にようやく解放されたばかり。今回の感染拡大で、再び大規模ロックダウンに戻ることへの不安が高まっている。

全市的なロックダウンは6月初めに解除されたものの、厳格な制限は今も続き、新型コロナの症例が確認された地区では即座にロックダウンが行われる。

12日現在、市内の240地区が中~高リスク地区に指定され、ロックダウンの対象となっている。

氷に手を置くなどして体を冷やす医療従事者=12日、中国・上海の新型コロナ検査場

上海当局は繰り返し、全市的なロックダウンが差し迫っているという情報を否定している。しかし住民は納得せず、当局は全市的なロックダウンが始まる直前の3月にも、同じような説明をしていたと指摘する。

11日には市内の2地区が住民に対し、14日分の食料と医薬品を自宅に蓄えておくよう指示を出した。

この通知がネットで拡散すると、住民の間にパニックを引き起こした。4月~5月にかけての長期間に及んだロックダウンは食料不足を招いて医療が受けられない事態につながり、住民の心の傷はまだ癒えていない。

不満の声が高まる中、地区職員は国営紙に対し、今回の提案は感染の拡大に備えてもらうことが目的だったと説明。感染者の濃厚接触や二次接触は、地区のロックダウンにつながる可能性があるとした。

中国のSNS大手ウェイボー(微博)には、「結構だ。食料不足と生活必需品買いだめの影におびえる暮らしの中で一生を過ごそう」「もう3年たった。いったいいつ終わるのか? 3年が一生に何回あるのか? もうたくさんだ!」といったコメントが投稿されている。

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