東京(CNN) 10日に投開票が行われた参議院選挙は、与党自民党が単独で63議席を獲得し、改選議席125の過半数を確保する大勝を果たした。この2日前には同党の安倍晋三元首相が奈良県での応援演説の最中に暗殺され、全国に衝撃が走っていた。
自民党の大勝は岸田政権の政治基盤を強固にし、憲法改正を含む重要な政策課題の推進に弾みがつく可能性もある。
憲法改正は安倍氏が首相在任中に掲げていた課題で、実現には衆参両院で3分の2以上の賛成を得た後、国民投票で承認される必要がある。
投票が締め切られてから数時間後、岸田首相はNHKの取材に答え、今回の選挙が暴力のために危機にさらされていたとの認識を表明。それでもやり切らなくてはならず、実際にやり切ったと述べ、前へ進むことが非常に重要だと語った。
そのうえで、引き続き尽力して民主主義を守らなくてはならないと述べた。
一方、安倍氏を殺害したとして逮捕された山上徹也容疑者(41)は、自身の母親が関与していたある特定の団体に恨みを抱いており、安倍氏がその団体とつながっていると考えて犯行に及んだと供述している。NHKと共同通信が警察からの情報として伝えた。
奈良県警は11日、山上容疑者が7日午前に県内にある「ある特定の団体」の建物に向かって試射を行っていた可能性があると明らかにした。発射したのは手製の銃で、その後安倍氏殺害に使用したものと同じだという。
警察は上記の団体を名指しするのを拒否。CNNは山上容疑者がどの団体に言及しているのかについて、独自に確認できていない。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長は11日の声明で、容疑者の母親が信者であり、月に1回ほど教会の行事に参加していたと述べた。容疑者本人が信者だったことはないとした。そのうえで要請があれば、組織として捜査に協力すると付け加えた。