香港(CNN) 5年前に香港のホテルから連れ去られ消息を絶ったカナダ国籍を持つ中国人の大富豪について、中国国内で領事の面会なしでの裁判が開かれる見通しであることが分かった。在中国カナダ大使館が5日、CNNに明らかにした。
中国人富豪の肖建華氏は、同国で最も有力な部類の政治家の家系と緊密な関係にあったことで知られる。同氏は2017年、中国の治安要員によって香港のフォーシーズンズ・ホテルの自室から連れ出され、中国本土に連行された後消息を絶っていた。
カナダ大使館によれば、現在領事館員が肖氏の件について注意深く監視し、本人の家族の対応にも当たっている。ただ裁判の具体的な日付に関して、同大使館は確認しなかった。
「カナダは複数回の要請によって同国の国籍を持つ肖建華氏の裁判手続きへの参加を求めたが、中国当局はこれを拒否した」(カナダ大使館)
ロイター通信は先に、カナダ大使館を引用する形で肖氏の裁判が4日に始まる予定だと報じていた。
当局が司法手続きを経ずに肖氏を連れ去った時期は、習近平(シーチンピン)国家主席が広範な汚職撲滅の取り組みを実施していたころと重なる。この取り締まりは、多くの高位当局者や中国の大手企業幹部らが対象となっていた。
これ以降、肖氏は公の場に姿を見せていない。中国当局は同氏に対する容疑や裁判に関する詳細を一切明らかにしていない。
中国外務省の趙立堅報道官は4日、記者会見で肖氏の裁判について尋ねられた際、状況を把握していないと答えた。