(CNN) 米連邦議会議事堂襲撃事件の起きた2021年1月6日、当時のトランプ大統領は怒りを露わ(あらわ)にして議事堂に向かうことを要求し、それができないとなると自らを護衛する部隊の隊員を叱責した。シークレットサービス(大統領警護隊)の関係者2人が明らかにした。
両者はこの時の出来事を数多くの隊員から聞いており、その中には上記のやり取りが発生した大統領専用車両のドライバーも含まれるという。
関係者らはCNNの取材に答え、当該の出来事に関する話が襲撃事件の直後から広まっていたと述べた。そこにはホワイトハウスの元関係者カシディー・ハチンソン氏が事件を調査する下院特別委員会の公聴会で証言した詳細と類似する内容も盛り込まれていた。話の流布は、襲撃事件の直後からハチンソン氏による証言の前までの間続いていたという。
伝わった内容について、細部は人により異なるものの、怒りを伴うやり取りは実際に起きていたと聞かされたと、上記のシークレットサービス関係者は説明する。またそうした話は相当の部分でハチンソン氏の証言とも一致するという。
ハチンソン氏の証言を巡ってはトランプ氏とその同調者らが伝聞だと攻撃。証言全体の信憑(しんぴょう)性の低下を図っている。
シークレットサービスに長年従事してきた関係者の1人は、隊員らの間で伝わった話の内容について、トランプ氏が「要求の厳しい人物」として描かれていると説明。また会話の相手に対し、Fワードを交えながら、米国大統領である自分に指図はできないといった趣旨の発言をしたという。
この関係者は、その場の状況でトランプ氏がある程度身を乗り出していたとしつつ、自身の聞いた範囲では実際に隊員と身体的な接触があったのかは分からないと述べた。トランプ氏が相手の隊員に襲い掛かったと話す者は誰もおらず、座席を越えて身を乗り出そうとしていたとの内容だったという。なぜそうしたのか分かる者はいなかった。
またこの出来事については21年2月から何度となく聞いてきたとした。情報源は他の隊員たちで、その中には襲撃事件の時期に大統領の警護に携わった隊員もいたが、出来事自体に関わった隊員は1人もいなかった。
このほか隊員たちについては、トランプ氏が癇癪(かんしゃく)を起こす話をよくしていたと付け加えた。その中には物を投げたり、壊したりした例も含まれるという。
別のシークレットサービスの関係者は、当時大統領専用車両を運転していた人物とも話したとしたうえで、トランプ氏については隊員らに激しい口調で食って掛かったものの、いかなる暴力も振るわなかったと聞いていると述べた。
トランプ氏が大統領専用車両のハンドルを握ろうとしたという話については、上記のどちらの関係者も聞いていないと語った。
ハチンソン氏は公聴会で、怒ったトランプ氏が大統領専用車「ビースト」のハンドルを握ろうとしたとの話を聞いたと証言していた。