ベルリン(CNN) ドイツの裁判所は28日、ナチス・ドイツのホロコースト(ユダヤ人大虐殺)で3518人の殺害をほう助したとして、強制収容所の元看守(101)に禁錮5年の量刑を言い渡した。
ドイツ北東部ブランデンブルク州ノイルピーンの検察によると、男性被告は2021年、ベルリン北郊にあるザクセンハウゼン強制収容所で収容者の殺害を「認識しつつ故意に」ほう助した疑いで訴追されていた。
裁判所の報道官によると、男性被告は今回、ノイルピーンの地方裁判所で量刑を言い渡された。
報道官は、公判は複雑なプロセスだったと指摘。「犯行が行われたのは非常に前で、加害者が非常に高齢であることから、適切な刑罰を見つけるのは極めて難しかった。こうした全ての事情が刑の減軽事由になった」と述べた。
報道官はまた、看守の監視下で死亡した人数の膨大さについても考慮したと示唆した。ドイツ法では通常、殺人罪で有罪になった被告は禁錮3~15年を言い渡される。
国際アウシュビッツ委員会のクリストフ・ヒューブナー氏は28日、CNNに対し「今回の判決は遅まきながら遺族への埋め合わせになる。ドイツが示した非常に重要なサインだ」との見方を示した。
ヒューブナー氏によると、被告は常に強制収容所での積極的な関与を否定していたという。
ドイツのユダヤ人団体は今回の判決について「被告は高齢のため、おそらく刑期を満了することはないだろうが、判決は歓迎される」とコメント。「強制収容所で働いていた数千人は殺人機構の運営に関わっていた。彼らはシステムの一部であり、責任を取るべきだ」と述べた。
ドイツのプライバシー法に従い、男性の名前は公表されていない。罪状には1942年に旧ソ連の戦争捕虜の銃殺に関わった罪や、毒ガスの使用を通じて囚人の殺害をほう助した罪などが含まれる。
ザクセンハウゼン強制収容所は36年に開設された。同収容所に収容された約20万人のうち、計約10万人が収容所内で亡くなったと考えられている。第2次世界大戦中、同収容所の収容者数は約1万1000人~4万8000人で推移していた。