(CNN) アフガニスタン東部で22日に発生したマグニチュード(M)5.9の地震で、地元当局者によると、死者は1000人を超えた。負傷者も多数出ている。
イスラム主義勢力タリバンが統治するアフガンは現在、飢餓や経済危機のただ中にあり、困難な時期に今回の地震に見舞われた形だ。
米地質調査所(USGS)によれば、地震は午前1時24分ごろ、パキスタンとの国境に近いホースト市の南西約46キロの地点で発生した。震源の深さは約10キロ。
州の災害対策当局によると、死者の大半はパクティカ州の4つの地区に集中している。
パクティカ州の情報文化当局トップはCNNの電話取材に対し、同州の2つの地区だけで少なくとも1500人が負傷したと明らかにした。捜索活動が続くにつれ、死傷者の数は増える見通しだとしている。
地震は午前1時24分ごろ、パキスタンとの国境に近いホースト市の南西約46キロの地点で発生した/Pajhwok Afghan News
災害対策当局によれば、隣接するホースト州では25人が死亡、数人が負傷。ナンガルハル州でも5人が死亡した。
パクティカ州からの写真には、複数の民家ががれきと化して壁1~2枚しか残っていない様子や、折れた屋根の梁(はり)が写っている。
アフガンの水資源管理の専門家は、今回の地震はモンスーンの豪雨とタイミングが重なったため、泥などの自然素材でつくられた伝統的な住宅は特に脆弱(ぜいじゃく)な状態だったとの見方を示す。
この専門家はまた、地震が夜間に起きたこと、震源の深さが10キロと浅かったことも死傷者の増大につながったと指摘した。
国連が支援した5月の報告書によると、アフガンでは国民の半数近くに当たる2000万人が急性の飢餓に見舞われている。昨年8月に政権を奪取したタリバンによって状況が悪化した。米国などは政権奪取を受け、アフガンの外貨準備の凍結や国際的な資金提供の中止に動いた。
こうした状況により、すでに援助に大きく依存していた経済は打撃を受けた。昨年の混乱した米軍撤退の後、アフガン経済は悪化に歯止めがかからず、世界銀行の4月の予測によると「収入減少に物価高騰が重なり、家庭の生活水準が著しく低下している」状況だという。
タリバンの報道官によると、タリバンは22日、負傷者の輸送や被災者への物資支援を進めるための緊急会合を開いた。災害管理当局幹部は、死者の遺族に10万アフガニ(約15万円)、負傷者の家族に5万アフガニを支給すると発表した。
アフガニスタンの赤新月社のボランティアが被災者を支援する/Abdul Wahid Rayan/Twitter
外交部は外国からの支援も求める声明を出した。
世界保健機関(WHO)はツイッターで、医療品供給や救急医療、必要な物品の評価などを行うWHOの緊急対応チームが現地にいると述べた。ただ、WHOのある当局者は物流が限界状態にあるとも指摘した。
国連人道問題調整事務所(UNOCHA)は、豪雨や強風でヘリコプターが着陸できず、支援の取り組みが滞っていると述べた。負傷者の手当てや避難所、食料や食料以外の物資、衛生面の支援がすぐに必要だとしている。
隣国パキスタンのシャリフ首相は犠牲者に哀悼の意を表して、支援を申し出た。インドやローマ教皇も犠牲者やその家族への哀悼の意を伝えた。