(CNN) ウクライナ東部ドネツク州の親ロシア派勢力が自称する「ドネツク人民共和国」(DPR)の裁判所は9日、ウクライナの「雇い兵」になったことを理由に外国人3人に死刑判決を言い渡した。ロシア国営RIAノーボスチ通信が伝えた。
DPR当局によると、英国籍のエイデン・アスリンとショーン・ピナー、モロッコ国籍のブラヒム・サードゥーンの3被告は外国人戦闘員で、4月にウクライナ南部マリウポリでロシア軍によって拘束された。RIAノーボスチによれば、3人は銃殺されるという。
DPRを独立国家とみなしている国はロシアのみ。国際社会はDPRやその機構を承認しておらず、同領域をウクライナの一部とみなしている。独立監視機関は以前からDPRの悲惨な人権状況や捕虜虐待を非難してきた。
ウクライナ政府は8日の声明で、全ての外国人義勇兵をウクライナ軍の一員とみなし、ジュネーブ条約に基づき戦争捕虜の処遇を受ける権利を有する合法的な戦闘員と位置づけると述べていた。
RIAノーボスチはドネツクの司法関係者の話として、3人は1カ月以内に上訴できると報じた。
ロシア国営タス通信は死刑判決後、被告の弁護士の1人が依頼人が上訴する考えだと明らかにしたと伝えた。
英国のトラス外相は、今回の判決には「全く正統性がない」と指摘。ツイッターに投稿した声明で「ロシアの代理勢力によってウクライナ東部で拘束中のエイデン・アスリン、ショーン・ピナー両氏に下された判決を強く非難する。彼らは戦争捕虜だ」と述べた。
英外務省の4月の声明によると、ピナー氏は以前、英軍に所属していたことがある。
サードゥーン氏の友人数人はCNNに対し、同氏は大学で学ぶ目的でウクライナに来た後、21年にウクライナ軍に加わったと明らかにした。