フィンランド、NATO加盟申請を正式表明 「歴史的な決断」

フィンランドの北大西洋条約機構(NATO)加盟申請を発表するマリン首相(左)とニーニスト大統領=15日、フィンランド首都ヘルシンキ/Heikki Saukkomaa/Lehtikuva/AFP/Getty Images

2022.05.16 Mon posted at 11:30 JST

(CNN) フィンランド政府は15日、北大西洋条約機構(NATO)への加盟申請を正式に表明した。同じ北欧のスウェーデンでも同日、与党がNATO加盟を支持するとの立場を示した。

フィンランドのニーニスト大統領とマリン首相はこの日、首都ヘルシンキでの共同記者会見で、加盟申請の決定を下したと発表。議会の承認を得て正式な手続きを取る構えを示した。マリン氏はこの中で、NATO加盟を「歴史的な決断」と表現した。

ただし、加盟にはNATO全30カ国の議会承認が必要とされ、その過程に数カ月を要する可能性がある。

ロシアによるウクライナ侵攻を受け、フィンランドの世論調査ではNATO加盟を支持する声が30%前後から80%近くまで強まった。

同国が加盟に向けて動き出したことに対し、ロシアのプーチン大統領は14日、ニーニスト氏に「軍事的中立を放棄してNATOに加わることは間違いだ」と警告するなど、強い抵抗を示してきた。ロシアは14日から、同国への電力供給を停止している。

スウェーデンの与党・社会民主労働党も15日、公式ウェブサイトを通し、自国のNATO加盟を支持するとの声明を出した。同時に、申請が承認された場合は、国内への核兵器配備や基地の常設は留保するよう働き掛ける方針を示した。

アンデション首相は同日の会見で、ウクライナ侵攻を「違法で弁解の余地がない」と非難し、ロシアが近隣で同じ行動を起こす可能性を否定できないと指摘。NATO加盟による正式な安全保障が必要だと主張した。

リンデ外相はツイッター上でNATO加盟を「歴史的決断」と呼び、ウクライナ侵攻がスウェーデンと欧州全体の安全保障環境を悪化させたと述べた。

欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟国。黄色が1991年以前の加盟国。オレンジ色が1991年以降の加盟国

フィンランドとスウェーデンの表明を受け、NATOのストルテンベルグ事務総長は15日の会見で、両国はNATOにとって「最も近いパートナー」だと強調。「NATOの扉は開かれている」と語った。

だが加盟国のひとつであるトルコは、両国の加盟に難色を示している。エルドアン大統領は13日、両国がクルド人の「テロ組織」を支援しているとして、加盟に「前向きではない」と語った。

トルコで分離独立を求めるクルド労働者党(PKK)を指した発言だが、詳細には言及しなかった。

両国に多くのクルド人移民がいることは事実だが、フィンランドのハービスト外相はエルドアン氏の発言に対し、「テロとの戦い」を重視する同国の姿勢を改めて強調した。

ニーニスト氏は15日、エルドアン氏が1カ月前の電話会談ではフィンランドのNATO加盟に賛同していたと指摘し、同氏の態度に困惑していると語った。

ストルテンベルグ氏は会見で、トルコが示す懸念で加盟手続きが遅れることのないよう対応できるとの自信を示した。

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