5年以内に1.5度の気温上昇、確率50% WMOが報告

米国最大の人工貯水池のミード湖/Mario Tama/Getty Images

2022.05.11 Wed posted at 11:38 JST

(CNN) 世界気象機関(WMO)は10日、世界の平均気温が今後5年間のうちに国際的な抑制目標のラインを超え、一時的にしても産業革命前より1.5度上昇する確率は50%に上るとする報告書を発表した。

報告書は、今年から2026年までの間に少なくとも1年は、気温の上昇幅が1.5度を超える恐れがあると警告。世界の年間平均気温が過去最高記録を更新する確率は93%に達し、5年間の平均が過去5年間より上昇することもほぼ確実と予想している。

15年に採択された温暖化対策の国際ルール「パリ協定」では、産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1.5度までに抑えることが目標とされた。上昇幅は現在、少なくとも1.1度に達している。

上昇幅が5年以内に一時、1.5度を突破する確率は、15年の時点でほぼゼロとされていた。しかしその後、確率は次第に高まり続けている。

WMOのペッテリ・ターラス事務局長は報告書に添えた声明の中で、1.5度のラインは「無作為に選んだ数値ではない」とし、「気候変動による人間や地球全体への悪影響が大きくなっていく境目を示している」と指摘。温室効果ガスの排出が続く限り気温は上がり続け、海水温の上昇や海洋酸性化、海氷や氷河の融解、海面上昇、異常気象などが進み続けると警告した。

ヘルメットを使って体に水をかけ暑さをしのぐ作業員ら=インド

平均気温が1.5度上がることによって、世界のサンゴ礁が消滅したり、永久凍土の大規模な融解が始まったりする影響が考えられる。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は2月に出した報告書の中で、気温の上昇がたとえ一時的にでも1.5度を超えた場合、その影響は元に戻らない恐れがあると指摘した。

報告書の作成を主導した英気象庁のレオン・ハーマンソン氏は、「1年だけ1.5度を超えてもパリ協定の目標を破ったことにはならないが、長期にわたって超える事態がますます迫っていることが明らかになる」と述べた。

報告書の発表に先立ち、インドやパキスタンは最近、「人間の生存可能性の限界」が試されるほどの異常な熱波に見舞われていた。

米西部では00~21年の干ばつが過去1200年で最も深刻な規模に達し、国内最大の人工貯水池であるミード湖など、貯水池の水位が極端に下がっている。

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