(CNN) 侵攻したロシア軍との戦闘が続くウクライナ東部ハリコウ市の動物園に取り残され、処置の方法が案じられてもいたライオン2頭の救出劇がこのほどあった。
2頭の救助に戦闘の最前線を避けながら車で夜通しの18時間運転して駆けつけたのは同国南部のオデーサ動物園の管理者と部下の2人。現地時間の朝7時に到着して2頭を積んだ後、オデーサに引き返す強行軍だった。給油のための停車は1回だけだったという。
管理者は、ライオンたちは輸送途中、おとなしくしており、面倒なこともなかったと報告。砲撃の被害もなかったとした。
いずれも6歳のライオン2頭はオデーサの動物園で体調を取り戻しつつあり、食欲も順調だという。将来的には子どもの出産も期待されている。ハリコウのエコパーク動物園は非常に多くの動物を安全地帯へ送り出した英雄ともたたえた。
2頭の名前は米アニメ映画「ライオン・キング」にちなむ「ムファサ」と「ナラ」だという。
エコパーク動物園では過去数週間、職員やボランティアらがカンガルー、トラやキツネザルを含めた動物の避難作業に奔走。散発的な砲火に襲われる中での奮闘だった。
今月4日には動物たちを輸送車に乗せている際に再度の砲撃があった。同園の所有者によると、この砲撃でボランティア活動に従事していた15歳の少年が殺害された。両親の食料確保を助けながら、動物の退避作業も支援していた少年だったという。
同園の関係者が戦闘に巻き込まれて死亡したのは6人目となった。
一方、ウクライナとの国境に近いポーランドのプシェミシル町の避難施設には飼い主の夫妻と共に雄鶏の1羽も逃げ込み、朝の到来を告げる鳴き声を発する一幕があった。
ただ、時差にまだ慣れていないのか、通常は朝4時のはずだったが避難施設では現地時間の朝3時に響きわたることとなった。
名前がないこの雄鶏は1000人以上を収容する施設に到着後、即座に環境になじみ廊下をうろつくなどの行動を見せた。しかし、これら避難者が翌朝に絶え間ない鳴き声に眠りを破られたのは朝3時きっかりだったという。
施設で働くボランティアはCNNの取材に、この騒音の出所を探し、米英出身などのほかの同僚に尋ねながら発生源を突き止めたとした。
飼い主の夫婦は爆撃を受ける苦境を一緒に生き延びただけに置き去りに出来なかったとの思いを打ち明けたという。夫婦は入所の翌日に施設を離れたが、この雄鶏の写真はツイッター上に流れ、150万件以上の閲覧を集める話題となった。