韓国ソウル(CNN) 北朝鮮で25日、最新型のミサイルなどを披露する軍事パレードが開催され、金正恩(キムジョンウン)総書記は核兵器の開発を強化すると表明した。
パレードは朝鮮人民軍の創建90周年を記念して首都・平壌で行われ、米本土全体を射程に収めるとされる新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」や大型のロケット発射台、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)などが登場した。
25日に撮影され、26日に朝鮮中央通信が公開した軍事パレードの写真。ICBM「火星17」が写っている/KCNA VIA KNS/AFP/Getty Images
朝鮮中央通信(KCNA)によると、正恩氏は演説で、北朝鮮に対して軍事的に立ち向かう者は消滅するだろうと警告し、核戦力は「国家の力を象徴し、軍事力の基礎にもなる」と主張した。
同氏はまた、「核戦力の第一の使命は戦争を防ぐこと」だが、北朝鮮の根本的な利益を奪おうとする者がいたら「第二の使命」を実行せざるを得ないと述べた。ただし、その使命の具体的な内容には言及しなかった。
パレードで特に目立ったのは、北朝鮮が史上最大の軍事的成果のひとつとして誇る火星17だ。北朝鮮は先月、その発射実験に成功したと発表した。国営メディアはこれを「強力な核戦争抑止力」と呼び、正恩氏は米国との軍事衝突の準備が完了したと宣言していた。
ただしアナリストらは、このミサイルが核弾頭を標的まで運べるかどうかを疑問視している。米韓両国は先月の発射実験にも懐疑的な見方を示し、実際は2017年に初実験を行った「火星15」だった可能性もあると指摘してきた。
米カーネギー国際平和財団の専門家、アンキット・パンダ氏はパレードの写真に基づき、まだ発射実験に至っていない固体燃料ミサイルが3基あるとの見方を示した。固体燃料型は移動しやすいため敵に見つかりにくく、発射準備に要する時間も短いという利点がある。
米ミドルベリー国際問題研究所のジェフリー・ルイス氏も先月の発射実験を受けて、正恩氏は多弾頭型や固体燃料型のICBM、軍事衛星、原子力潜水艦などの開発目標をすべて達成するまで進み続けるとの見通しを示した。
演説に臨んだ同氏の軍服姿は、韓国の次期政権などに対する威嚇姿勢の象徴だとする見方もある。
一方でパンダ氏らは、北朝鮮の根本的な立場に変わりはないとみている。正恩氏が韓国や米国を名指しせず、過激な表現を控えたことから、比較的穏やかな演説だったと分析する専門家もいる。