(CNN) 爆弾や砲弾による激しい攻撃を受けたウクライナ北部の村。30日あまりロシア軍の支配下にあったこの場所で何が起きていたのかが今、明らかになりつつある。現地のCNN取材班は住民が閉じ込められていた学校の地下室などを訪れた。
村の女性ソフィアさんは、戦闘が起きてまず最初に逃げ込んだという自身の小屋の防空壕(ごう)に案内してくれた。ここに貯蔵してあった食料はロシア兵に食べられた。
ロシア兵は村内を一軒一軒回って住民を拘束し、銃を突きつけて村にある学校の地下室に連行した。ソフィアさんたちはロシア兵から、ここに来たのは死ぬためだと告げられたという。
今度はナタリーという名前の別の女性が、自身が閉じ込められていた地下室に案内してくれた。
「ぼうぜん自失の状態だった」と、ナタリーさんは振り返る。「ただあそこに座って、早く全てが終わるように祈っていた」
住民によると、学校の地下室に閉じ込められていたのは計約350人。男性、女性、子どもたち、誰もがこうした劣悪な状況で暮らすことを強いられた。
地下室内は換気が非常に悪く、住民の1人によると高齢者12人が窒息死した。外で激しい戦闘が行われるなか、遺体は放置されたままだった。
ナタリーさんは、小さな一室におよそ35人が寝ていたと証言する。誰ひとり横になることはできず、両ひざを抱えた状態で座りながら眠った。
部屋には即席のベッドや教科書、ロシア兵が食事をした跡などが散乱していた。壁には子どもたちが時間つぶしに描いた絵や、人々が刻み付けた名前や日付が残っており、第2次世界大戦の強制収容所を思わせる雰囲気だった。
地上ではロシア兵が学校を占拠していた。自分たちは「人間の盾」として使われていた、と住民は語る。ロシア兵は民間人のいる学校ならウクライナ軍が攻撃してこないと知っていたためだ。
ロシアに占領されたウクライナの村、住民監禁した地下室を訪問