トレーダーは会社で寝泊まり、全市封鎖でも止まらない金融都市・上海

会社の机の下に設置されたキャンピング用ベッド/Zhong Ou Asset Management

2022.03.31 Thu posted at 13:50 JST

香港・北京(CNNビジネス) 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、今週から大規模なロックダウン(都市封鎖)が始まった中国・上海。現地の銀行や証券会社は金融取引に支障が出る事態を防ぐため、トレーダーなどに対してオフィスに泊まり込むよう求めている。

事情に詳しい関係者がCNN Businessに語ったところによると、トレーダーやファンドマネジャーは泊まり込み1泊につき500~2000人民元(約9600~3万8500円)の手当を支給されている。デスクの下に簡易ベッドを置いたり、寝袋や食事、洗面用具を支給する会社もある。

金融機関1000社以上が集まり、証券取引所がある上海の金融街、浦東新区では、ほとんどの会社がそうしているという。上海証券取引所は通常通りの業務を続けている。

980億ドル相当の資産を管理しているという資産運用会社の中欧基金は、上海のパンデミック(世界的大流行)がエスカレートし始める中、確実に運用を継続させるため、投資ディレクターやファンドマネジャー数人が3月から寝泊まりを始めたことを明らかにした。

同社は28日、中国大手SNS微信(ウィーチャット)への投稿で、「現場責任者」に任命されたある幹部は「半月以上もオフィスに滞在している」と伝えた。

別の資産運用会社、叡遠基金でも一部の社員が16日からオフィスに寝泊まりしているといい、「週末も例外ではない。彼らは日用品を持ち込んで会社を自宅にしている」と微信に投稿。蓄え込んだ食料やデスク脇に置かれたキャンピング用ベッドの写真を掲載した。

パンデミックが続く中、中国では従業員がオフィスに住み込むのが日常になっている。

オフィスの机の間に設置された折りたたみ式ベッド=中国・上海

中国国営ニュースサイトのchina.com.cnは今月に入り、上海市内のオフィスに何日も寝泊まりしている従業員のビデオダイアリーを掲載した。社名は公表していないものの、75人が約300平方メートルの空間で暮らしているという。

今月に入って微信に掲載された動画では、オフィスに並べられたエアマットレスで従業員が眠り、1人の男性がトイレの洗面台で顔を洗っていた。

問題はシャワーだったと従業員の1人は振り返る。最初は湯をわかして体を洗っていたが、その後シャワー設備が導入されたといい、「大学の寮に戻ったみたい」とコメントしている。

眠ろうとすると別の問題に突き当たった。動画の中の女性は、大理石の床は硬くて寝袋を敷いても不快だと不満を漏らし、「最初の数日はパニック状態だった。午前2~3時まで眠れなかった」と告白。いびきをかく同僚は「会議室に追いやることにした」といい、「彼らはその部屋で一緒に寝ている」と言い添えた。

全市的な移動制限が始まる前から従業員がロックダウンに入っていた理由については、この動画では明らかにしていない。

ただ、中国では各地で突然ロックダウンが始まることも多く、新型コロナの症例が1例確認されただけで、まだ従業員が中にいるオフィスビルが丸ごと封鎖されることもある。そうした従業員には寝具などの必需品が提供されることもある。

ロックダウンが続く中でも上海のビジネスは滞っていない。上海証券取引所はこのほど、企業が引き続き上場式典や投資家説明会、株主総会を開催できるよう、オンラインサービスを提供すると発表した。書類提出の要件についても一部を緩和する。

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