(CNN) ウクライナ南東部マリウポリの市長は28日、市の大部分がロシア軍の支配下に入ったとの認識を示した。包囲された同市は数週間にわたる爆撃で破壊され、市民が犠牲となり、数十万人が自宅を追われた。
マリウポリのボイチェンコ市長は生中継のテレビインタビューで、「すべてを我々が掌握しているわけではない」「残念ながら、今日の我々は占領者の手中にある」と語った。
ロシアが先月24日に侵攻を始める前、同市には40万人以上が住んでいた。ボイチェンコ氏は市内に残る住民の完全な退避を要請。「我々の推計によると、現在マウリポリには約16万人が残っている。水も電気も暖房も電話もないため、生活が不可能な状態だ」と説明し、「本当に恐ろしい状況」とも語った。
自分の住む集合住宅を破壊された女性=27日、マリウポリ/Alexander Ermochenko/Reuters
市内でまだ戦闘が行われているかは不明。
ウクライナ当局は、ロシア軍が人道支援車列の安全な接近や出発を妨げていると主張する。親ロシア派分離主義勢力の指導者は27日、毎日約1700人の住民が市内や周辺部から「避難」していると主張。一方、ウクライナ当局は数千人がロシアに強制的に「移送」されているとしている。
ボイチェンコ氏は「マリウポリからの完全な退避が必要」「現在のもっとも重要な使命は人命を救うことだ。成功する希望はある」と説明。現状の一例として、マリウポリに向かう必要がある26台のバスがあるが、まだ移動の許可が得られていないことを明らかにした。
ウクライナ当局が27日に公表した統計によると、マリウポリ市内の住宅は9割あまりが被害を受けた。このうち6割は直接攻撃を受け、4割は破壊された。
包囲前に最大14万人が市を離れ、封鎖中に約15万人が脱出に成功したという。ウクライナ当局はマリウポリから3万人がロシアに強制移送されたと主張している。
爆撃受けたマリウポリの劇場、直後の内部の様子