プーチン大統領が集会で演説、ウクライナ侵攻を正当化 放送途切れる一幕も

モスクワのスタジアムに集まった観衆の前で、プーチン大統領が演説を行った/Sergei GUNEYEV/POOL/AFP/Getty Images

2022.03.19 Sat posted at 12:45 JST

(CNN) ロシアのプーチン大統領は18日、モスクワのスタジアムで開催した集会で演説し、ウクライナへの侵攻を正当化した。国営テレビで放送されたこの演説は唐突に途切れたが、ロシア政府はこれを技術的なミスと説明した。

スタジアムで開かれたのはロシアによるクリミア半島併合8周年を記念するイベントで、集まった数万人の人々がロシア国旗を振りこの日を祝った。ウクライナ政府はクリミア併合を違法とみなしており、西側諸国もこれを承認していない。

プーチン大統領はステージ上で演説を行い、ロシアはウクライナでの「あらゆる計画を必ず実行するだろう」と明言した。ステージ奥の横断幕には「ナチズムのない世界のために」という文言が記されていた。

「現状の苦しみ、ジェノサイド(集団殺害)から人々を救う。これこそが主要な理由であり、動機であり、目的だ。このために我々はドンバス(ウクライナ東部地域)とウクライナでの軍事作戦を開始した」と、プーチン氏は語った。

ロシア国営テレビは後に、プーチン氏の演説をノーカットで再放送した。その際問題は発生しなかった。ただロシア政府は集会が生中継されたのか、あるいは録画放送だったのかについて確認も否定もしなかった。

プーチン氏は、国民の団結がこの長期間で最も強固になっていると主張した。実際には多くの人々がロシア国外に逃れたり、路上に繰り出して戦争に抗議したりしている。国際社会においてもロシアは一段と孤立を深めている。

「それを証明する最たるものは、この作戦における我が軍の兵士の戦いぶりだ。肩を寄せて支え合い、必要とあらば兄弟のようにお互いを守る。戦場で体を張って相手の盾にもなる。これほどの団結は、もう長いこと生まれていなかった」と、プーチン氏は語った。

演説やコンサートが行われる中、会場で国旗を振って盛り上がるロシア国民たち

公務員らは当局から祝賀イベントに出席するよう告げられていた。CNNはモスクワの公立校の1校で働く教師に届いた招待状を入手。そこには出席者に対し、ロシア国旗を持参の上、白い「Z」のマークを記した服を身に着けるよう促す内容が記されていた。「Z」マークは戦争を支持するシンボルとして、ウクライナで活動するロシア軍の車両などに塗装されている。

ただ誰もが喜んで集会に参加したわけではない。CNNの取材に答えた小学校教師の女性(26)は、学校側から集会への出席を要請された際、自らの道徳的原則を理由にこれを拒否したと話した。一方で別の学校に勤務する友人は、出席を拒否して解雇されたとも明かした。

CNNは解雇の事実について、独自に確認できていない。

集会は1時間半続き、演説のほか音楽の生演奏も披露された。プーチン氏のほか、国営メディアRTの幹部や外務省報道官といった著名な支持者も演説を行った。

集会の司会者が、ロシアを侵略していると西側諸国を非難する場面もあった。司会者の紹介でロシアの五輪選手らが登壇すると、観衆から「ロシア」コールが沸き起こった。

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