ロシア海軍、黒海で作戦拡大 沿岸部へ艦砲射撃、海上交易を封殺

オデッサの海岸で砂袋に砂を詰める志願兵/Jonathan Alpeyrie/Bloomberg/Getty Images

2022.03.17 Thu posted at 16:40 JST

(CNN) 米国防総省高官は16日、ウクライナ戦況に触れ、黒海北部の海域でロシア海軍の活動が活発化しており、ウクライナ南部沿岸部にある一部の都市に海上から砲撃を加えているとみられると報告した。

米国独自の情報収集を踏まえ、砲撃は港湾都市のオデッサ郊外あるいはオデッサ近くの町が標的になっているとした。ただ、オデッサ自体は攻撃されていないとした。砲撃は黒海に展開するロシア海軍の戦闘艦船によるものと判断しているという。

一方、ウクライナ軍も同日、ロシア軍の戦闘艦艇がウクライナの黒海沿岸部に対する艦砲射撃を行ったと発表した。フェイスブック上での声明で、標的はオデッサ近くとした。

オデッサから約30キロ離れた4カ所の村落が狙われたと説明。水陸両用作戦が同市の制圧手段の一つになる可能性があるとも指摘。黒海沿岸部への砲撃増加は、同作戦の遂行が差し迫っているとの懸念を強めているとした。

オデッサはウクライナ第3の都市で、ロシア軍の重要な侵攻拠点と目されていた。

黒海に浮かぶ通称スネーク島の衛星画像。ロシア軍の攻撃による損傷がみられるという

英国防省はこれより前、ロシア軍は黒海沿岸部を通じたウクライナの国際海上交易を封じ込めたとの見方を示した。13日時点での最新諜報(ちょうほう)に基づく分析で、ウクライナを海路での貿易から事実上締め出していると述べた。

世界貿易機関(WTO)によると、海上交易は世界規模での貿易経路の80%以上を占める。

同諜報によると、ロシア海軍はウクライナ全土の標的に対するミサイル攻撃を続けてもいる。アゾフ海で揚陸攻撃を1回終え、今後数週間に同様の作戦を起こすことを見すえているとも分析した。

また、米衛星運用企業「マクサー・テクノロジーズ」は黒海に浮かぶウクライナ領の島にある施設がロシア軍の攻撃で損傷を受けていることを示す画像を公表した。黒海に停泊しているロシア海軍艦艇の姿もとらえていた。

この島は通称スネーク島で、ロシア軍の攻撃を受けたウクライナの守備隊が降伏への要求に「くたばれ!」と応じたことでウクライナ内で有名になっていた。同島は弾薬の不足もあって最後には制圧され、守備隊は捕虜となっていた。

損傷が判明したのは灯台、塔やアンテナ設備で、中心部にある一部の建物も破壊されていた。画像に写っていた艦艇はマクサーがロプチャー級揚陸艦と特定した。

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