ロシア軍、数百人避難のマリウポリの劇場爆撃 地面に「子ども」の文字

ウクライナ当局によると、数百人が避難していたウクライナ・マリウポリの劇場が16日に爆撃を受けた/From Telegram

2022.03.17 Thu posted at 10:09 JST

ウクライナ・リビウ(CNN) ロシア軍に包囲されているウクライナ南東部マリウポリの当局によると、数百人が避難していた市中心部の劇場が16日、爆撃を受けた。死傷者の数は不明。同市は数週間にわたりロシア軍による包囲が続いている。

同市の市議会は破壊された建物の画像を共有し、ロシア軍が市中心部の「ドラマシアター」を意図的に破壊したと述べた。建物には市民数百人が避難し、「飛行機が建物に爆弾を落とした」としている。

CNNは提供された画像が市内の劇場のものだと確認した。衛星写真によれば、建物の前後の地面にはロシア語で「子ども」の文字が描かれていた。

爆撃後の映像には、がれきと化した劇場で火災が起きている様子が映っている。

市議会はメッセージアプリのテレグラムに、住宅地への砲撃が続いているため劇場での被害の大きさを推計すらできないと書き込み、「ドラマシアターの中央部が破壊され、エントランスも破壊された」と述べた。

マクサー・テクノロジーズの公開したウクライナ・マリウポリの劇場。地面に「子ども」の文字が示されている=15日

マリウポリの市長顧問は、この劇場が市中心部の最大の避難所で「1000人以上が隠れていた」としたうえで、爆撃が続くため「がれきを除去できる可能性は低い」と述べた。

地元当局者が共有した映像によると、劇場から4キロあまりの距離にあるプールのある建物も攻撃を受けた。CNNはこの映像の信ぴょう性を確認した。

市職員は、この建物が民間人用で、女性と幼い子供だけが避難して兵士はいなかったと述べた。救助隊員ががれきの下から妊婦を救出しようとしているとも語ったが、CNNはこの情報については検証できていない。

マリウポリは今月1日からロシア軍の包囲が続く。安全な市民の避難回廊を設置する試みは失敗が続いたが、ベレシュチュク副首相によると、15日には約2万人が脱出に成功した。

爆撃されたマリウポリの劇場。死傷者の数は不明

ドネツク州のトップは、劇場にいた数百人の安否は不明としたうえで、「ロシア人はアゾフ大隊の本部がそこにあったと(主張し)うそをついている。彼らは市民しかいなかったことをよく認識している」と述べた。

ロシアは9日に市内の産科病院を爆撃。同国のラブロフ外相は、病院が超国家主義の民兵集団「アゾフ大隊」の拠点となっていて、患者や看護師は全員いなかったと証拠を提示せずに発言していた。その後ロシア国防省は同病院への爆撃自体を否定し、「挑発行為」だと述べている。

マリウポリは戦場と化している。副市長はCNNに対して、ロシア軍がミサイルで市内を爆撃し、15日には22機の航空機が少なくとも100個の爆弾で空爆を実施したと述べた。

ウクライナ当局の推計では、同市の市民2500人が死亡。数十万人が電気や水、暖のない状態で市内に取り残されている。

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