ロシアの攻撃、ウクライナ西部にも 首都近郊で米国人記者が死亡

ヤボリウの訓練施設に出入りする救急車両=13日/Dan Kitwood/Getty Images

2022.03.14 Mon posted at 13:59 JST

ウクライナ・キエフ/リビウ(CNN) ロシア軍は13日、激しい攻撃の対象をウクライナ西部にも拡大し、ポーランド国境に近いリビウ付近の軍施設に多数のミサイルを撃ち込んだ。また首都キエフ近郊のイルピンでは、米国人ジャーナリストがロシア軍に襲われて死亡した。

リビウはこれまでロシア軍の爆撃を免れ、各地から避難民が集まる拠点となっていた。

13日に攻撃を受けたのは、リビウとポーランド国境の間に位置するヤボリウの訓練施設。米国を含む北大西洋条約機構(NATO)との合同訓練にも使われてきた。軍当局によると、30発以上のミサイルが撃ち込まれた。

地元当局の発表によると、同施設では35人が死亡、134人が負傷した。ウクライナのレズニコフ国防相はこれを「テロ攻撃」と呼んで非難した。

現場の目撃者によると、衝撃音とともに爆発が起き、地面に深さ10メートルもある複数の穴ができた。人々ががれきの下敷きになっている恐れもあるという。

ヤボリウでの攻撃を受けて別の病院に搬送される患者=13日

一方、キエフ地域の警察がSNSで発表したところによると、イルピンで死亡した米国人はブレント・ルノーさん(50)。ほかに2人のジャーナリストが負傷した。

米誌タイムによると、ルノーさんは同誌系のテレビ局が難民危機を扱う番組の取材中だった。

米国務省も13日、ルノーさんの死亡を確認した。同省の報道官は、ロシアによる無差別な攻撃の一例だとツイートした。

SNS上ではさらに、米コロンビア大学ジャーナリズム大学院の非常勤教授で映像ジャーナリストのフアン・アレドンド氏が、キエフ市内の病院から発信した動画が流れた。アレドンド氏は、イルピンから避難する人々の取材で同市の検問所を通過した際、ロシア軍から銃撃を受けたと話している。

一方、ロシア軍の支配下にある南部ヘルソンでは13日、侵攻開始以降で最大規模の反ロシアデモが実施された。ロシアがヘルソン州に親ロシア派の「人民共和国」を設立する準備を進めているとの情報に対し、数百人がウクライナ国旗を掲げて抗議した。

ヘルソン市で行われた反ロシアの抗議デモの様子

ヘルソンのコリハエフ市長は同日、フェイスブックに投稿した動画で、同市は孤立して人道支援物資が届かず、食料やガソリン、医薬品が底をつきかけていると訴えた。

ロシア軍の爆撃はこのほかにも各地の都市で続き、南部ムィコラーイウでは9人の死者が報告された。同市東郊の村では学校が破壊され、複数の死者や重体の負傷者が出たとされる。

1週間以上前からロシア軍に包囲されている南部の港湾都市マリウポリの当局者らは、直近の24時間で22回の爆撃を受け、これまでに死亡した住民は2187人に達したと述べた。

ウクライナのポドリアック大統領顧問は13日、ロシアとの次回交渉が14日にオンライン形式で開かれると述べた。ロシアのペスコフ大統領報道官も国営RIA通信に、交渉は14日も続くと語った。

ロシアの人権団体OVDインフォは、13日にロシア国内35都市で実施された反戦デモで、計658人あまりが機動隊に逮捕されたと伝えた。

同団体によると、ロシア各地で逮捕されたデモ参加者は先週末以降で5000人を超え、ウクライナ侵攻が始まった先月24日からの合計は少なくとも1万4633人に上っている。

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