北東部スムイに市民脱出の「人道回廊」、難民200万人超 ウクライナ

ウクライナ首都キエフ近郊のイルピンから避難する人々=日/Aris Messinis/AFP/Getty Images

2022.03.09 Wed posted at 10:45 JST

(CNN) ウクライナ北東部のスムイで現地時間の8日、住民を脱出させるための「人道回廊」が開かれ、緊迫した状況の中で住民がバスや車で避難した。当局によると、この前夜にはロシア軍による空爆で、子ども2人を含む21人が死亡していた。

ウクライナ当局は、数日にわたってロシア軍の攻撃が続いた後、8日午前にスムイの避難回廊が開かれたことを確認した。国連によると、ロシア軍のウクライナ侵攻が始まった2月24日以来、ウクライナから避難した人は200万人を超えている。

合意に基づき停戦は現地時間の同日午後9時まで継続され、その時刻の1時間半前に最終避難が行われる。避難にはバスが使われ、約160キロ離れたウクライナ中部ポルタワまで住民を移動させる。ポルタワの首長が同日、テレグラムで明らかにした。

スムイの首長によると、スムイ近郊で起きた銃撃によって遅れが出た車列もあった。しかし同首長は地元メディアに対し、ロシア軍が車列に発砲したわけではないと説明。「今は市民が自分たちの車で避難している。19時半以降は検問所が閉鎖され、スムイからの脱出は不可能になる」とテレグラムに書き込んだ。

ロシア軍の攻撃がやんでいる間の脱出は、他都市では実現していない。各地の当局者はここ数日、ロシアか同盟国のベラルーシにつながる非現実的な避難ルートをロシアが提示し、停戦合意を破って市民に発砲していると非難していた。

ウクライナのドミトロ・クレバ外相は8日、ロシア軍が包囲した南部のマリウポリで市民30万人を「人質」に取り、子ども1人が脱水のために死亡したと語った。

ウクライナ当局は、マリウポリに人道支援物資を届ける車列が8日に銃撃を受けたようだと説明。ウクライナ軍合同作戦本部は、ロシア軍が子どもや女性、高齢者のマリウポリ脱出を許さず、人道回廊の方角を「正確に」狙って攻撃を仕掛けたと述べている。

CNNは車列の状況を確認できておらず、ロシア側の反応について取材を申し入れている。

煙が上がるムィコラーイウの街=7日

米国防当局者は8日、マリウポリは今、ロシア軍によって孤立させられていると語った。ただ、ロシア軍は今もマリウポリを爆撃しているものの、市内に「重大な形で」存在するには至っていないとの見方を示している。

CNNは先に、マリウポリの住民が何日もの間、水や電気から切り離された状態にあると伝えていた。

一方、首都キエフ周辺の地域も人道的に懸念される状況が続いている。

キエフ地区軍政局のトップはユーチューブの動画で、「主な課題は依然として人道支援だ」と指摘。ブチャ、イルピン、ホストメリ、マカリフ、ボロディヤンカ、ボルゼルの住民は「水や食料なしで何日間も防空壕(ごう)にとどまることを余儀なくされている」と述べ、ロシアはICRC(赤十字国際委員会)の仲介による合意にもかかわらず、人道避難を阻止していると言い添えた。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は8日、先の週末にロシア軍が進軍したウクライナ北部で避難しようとした民間人8人が殺害されたとの報道を受け、民間人に対する無差別攻撃を禁じた国際人道法にロシア軍が違反していると述べた。

これに先立ち英国防省は、ロシア軍が避難回廊を標的として、イルピンから避難しようとした民間人数人を殺害したとして非難していた。

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