避難民の検問所に砲撃の瞬間撮影、市長「目の前で一家亡くなった」 キエフ近郊

ロシア軍による砲撃後に煙が上がる=4日、ウクライナ南東部マリウポリ/Evgeniy Maloletka/AP

2022.03.07 Mon posted at 11:39 JST

(CNN) ウクライナ当局によると、首都キエフ近郊のイルピンで、避難民の通過する検問所がロシア軍の砲撃を受けた。市長は同地区で民間人8人が死亡したと発表した。

イルピンはキエフの北西に位置する。SNSに投稿された動画は、大きな被害を受けた現場の様子を伝えている。現地の外国メディアは、通過中の市民の列を砲弾が直撃したと報じた。

市長は声明で、「私の目の前で幼い子ども2人と大人2人の一家が亡くなった」と述べた。

米AP通信の写真には、複数の遺体がシートで覆われ、その近くにスーツケースだけが残った場面が写っている。

キエフの地方防衛当局は、国際社会に人道危機を訴えている。数千人の市民が孤立し、一部地域では5~6日前から電気や水、食料、医療なしの状態が続いているという。

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は6日、ウクライナではロシアの侵攻が始まってから360人を超える民間人が死亡したと発表し、実際の人数はさらに相当多い可能性を指摘した。先月24日以降に出国した難民は150万人を超えるという。

東部ドネツク州のマリウポリとボルノバーハではロシアとの停戦協議に基づき、市民が退避するための人道回廊を開設することが決まったものの、実現には至っていない。

クリレンコ知事は6日、フェイスブックへの投稿で、ロシア軍が激しい砲撃を再開し、市民が退避するには危険すぎる状況だと説明。人道物資を積んでマリウポリへ向かっている車列もまだ到達していないと述べた。

国際赤十字委員会(ICRC)も6日、マリウポリからの退避計画は失敗に終わったと発表した。

1歳半の子どもが砲撃が原因で死亡。医療従事者がしゃがみ込む=4日、マリウポリ

ウクライナの議員が6日、ツイッター上で主張したところによると、州都ドネツクとマリウポリを結ぶガスのパイプラインがロシア軍に破壊され、75万人の住民が暖房なしで、時に0度を下回る寒さに耐えている。

ロシア軍の攻撃は国内各地で激化している。地方当局によると、北東部にある第2の都市ハリコフではテレビ塔が繰り返し砲撃を受け、放送が途絶えた。

米国防当局の高官が6日、CNNに語ったところによれば、ロシア軍は侵攻開始以来、計600発のミサイルを発射。国境に集結していた戦闘部隊の95%をすでにウクライナ国内に投入した。

キエフでは6日、北西と西の方角で激しい砲撃が報告された。ウクライナ大統領府の顧問は、同市の北西郊外に位置するホストーメリとブチャがロシア軍に制圧されたと述べた。多数の子どもが負傷し、退避できずに地下室へ逃げ込んだ子どもたちも多いという。

ウクライナのゼレンスキー大統領は6日、ロシア軍が南部の港湾都市オデッサを攻撃する準備を進めていると警告した。西部でもヴィーンヌィツャの空港が破壊されたとして、米欧に飛行禁止区域の設定を改めて要請した。

一方、米欧の当局者らの間では、ゼレンスキー政権を西部リビウに移したり、ポーランドに脱出させて亡命政権を擁立したりする構想が議論されているという。

ただし複数の外交当局者によれば、ゼレンスキー氏自身はキエフにとどまる意思が固く、米欧側も本人と直接の話し合いには慎重な姿勢を示している。

砲撃を受ける瞬間を撮影、犠牲者出る キエフ近郊

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