(CNN) 家の前に落下した数百羽の鳥の群れ、地面に散乱した死骸、衝突の衝撃で死んだ鳥たち――。メキシコ北西部チワワ州では7日朝、一部の住民がそんな光景を目にした。
異様な光景を捉えた防犯カメラの映像が公開され、世界中の人が鳥たちの大量死を目撃したものの、映像を見た人には答えより疑問の方が多く残った。
「原因について正直なところ現時点では誰も分かっていない」。そう指摘するのは米セントルイスにあるワシントン大学のカルロス・ボテロ助教授だ。
映像は群れ全体を映しているわけではないが、ボテロ氏の仮説によれば、鳥たちは致死性の化学物質の中を飛行していた可能性がある。ただ、これが事実かを確かめるには死骸の検視が必要になるという。
ボテロ氏はまた、捕食動物に襲われた鳥たちが必死に逃げた可能性もあると指摘した。
一方、英生態・水文学センターのリチャード・ブラウトン氏は、ハヤブサのような捕食者を避けるための動きだったことはほぼ確実との見方を示す。
「ムクドリモドキは『マーマレーション』と呼ばれる密集した群れをつくり、空中で旋回することで、ハヤブサを混乱させて標的を定められないようにする」(ブラウトン氏)
この戦略に対抗するため、ハヤブサは群れの中に飛び込んで標的となる1羽を切り離そうとすると同氏は解説する。
映像に映っているのは、上方から襲撃してくる捕食動物を逃れようとする場面である可能性が高い。逃げ惑う鳥たちは降下したものの、一部はその後上昇するのが間に合わなかった可能性があるという。
専門家によると、この鳥は北米西部やプレーリーの湿地に住むキガシラムクドリモドキという渡り鳥。冬に大群を形成するため、その様子が今回の映像に捉えられていた。
メキシコで鳥の大群が突然落下、黒い塊が降ってくる様子を撮影