(CNN) 米北東部ニューハンプシャー州の中学生らが2020年10月に海へ送り出した小舟が先月末、ノルウェー沿岸部に漂着した。
小舟は462日かけて、約1万3000キロの距離を移動したことになる。
海と環境に関する啓蒙活動に取り組む米NGO「エデュケーショナル・パッセージ(EP)」が主導するプロジェクトだ。生徒たちはキットを受け取ってGPS付きの舟を組み立てる。記念品などを詰め、仕上げの飾り付けをして海に流す。
ニューハンプシャー州のライ中学校では18年以降、毎年このプロジェクトに取り組んできた。
20年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で仕上げの作業ができなかったため、EPのキャシー・スタイミエスト事務局長が生徒から送られた飾りを付けて完成させた。船出の日には、生徒たちもフェイスブックのライブ映像で見送ったという。
舟からのGPS信号は昨年9月30日を最後に途絶えた。見失ってしまったとあきらめていた今年1月31日、ノルウェー沿岸のスメラ島からの発信にスタイミエスト氏が気付いた。
SNSで現地に連絡を取ったところ、近くに住む女性から今月1日に連絡が入った。女性はその日の午後、学校から帰った息子とボートで島へ渡り、小舟を回収した。
フジツボに覆われ、マストはなく、船体も崩れかけていたが、積み荷は無事だった。息子の学校の生徒たちが中を調べると、木の葉や米国のコイン、名前入りのマスクなどが出てきた。
ライ中学校とノルウェー側の生徒たちは、17日にビデオ会議システムのZOOM(ズーム)を通して対面を果たすことになっている。
小舟にとってニューハンプシャー州からスメラ島までは相当な長旅に思えるが、スタイミエスト氏によればこれは最長記録ではない。過去にはマサチューセッツ州を出発してオーストラリアに上陸した例があり、移動距離はこの時が最も長かったという。