(CNN) カナダで新型コロナウイルス規制に対するトラック運転手らの抗議デモが続く中、米北部ミシガン、ノースダコタ、モンタナの3州とカナダを結ぶ国境3カ所が封鎖された。
カナダ政府は10日、全土に派遣する警官の増員などの対応を発表。公安相は「違法な封鎖を終わらせることを最優先する」と強調した。
首都オタワでは2週間にわたってデモ隊のトラックが中心部を占拠し続けている。ここ数日は、カナダと米国を結ぶ幹線道路上にトラックが駐車するようになった。
米ミシガン州デトロイトとカナダのオンタリオ州ウィンザーを結ぶアンバサダーブリッジは、10日まで4日間にわたってデモ隊に阻まれて通行できない状況が続いている。この橋は普段であれば北米の国境の中で最も交通量が多い。
カナダ警察によると、カナダのマニトバ州エマーソンと米ノースダコタ州ペンビナを結ぶ国境は、大型トレーラーや農業機器でふさがれた状態にある。カナダのアルバータ州と米モンタナ州を結ぶ国境も封鎖されている。
トラック運転手がワクチン義務付けに反対して組織した抗議デモ「フリーダム・コンボイ」は、その後、マスク着用やロックダウン(都市封鎖)、集会制限といった規制に反対する市民らも加わるようになった。
国境の封鎖で物資の輸送が滞り、国境近くの自動車製造工場は生産問題に見舞われている。自動車大手のフォード、ゼネラル・モーターズ(GM)、ステランティスはいずれも封鎖による製造問題が起きていると発表した。
さらに、オタワ国際空港は10日、約60~70台の車両が到着ターミナルと出発ターミナルを取り囲んで交通妨害しようとしていると伝えた。SNSには、空港近くの道路周辺でカナダ国旗を掲げたりクラクションを鳴らしたりする車数台の動画が投稿されている。
オタワ警察のウェブサイトによると、約2週間前にデモが始まって以来、25人が逮捕され、1500以上の交通違反切符が切られた。
オンタリオ州ウィンザー市のディルケンズ市長は10日、CNNの取材に対して、トラックやデモ隊の強制排除に踏み切れば、状況がエスカレートしたり、デモ参加者が増えたりするなど事態の一層の悪化を招く恐れがあると述べ、警察が交渉を試みていると説明した。
デモが国境を越えて米国に広がる可能性もある。米当局は、同じような事態が米国でも起きる恐れがあるとして警戒を強める。カリフォルニア州南部で13日に行われるスーパーボウルでもデモ隊の集結が危惧されている。