ウクライナ・ザポリージャ(CNN) ウクライナ周辺でロシアの軍備増強が着実に進んでいることを示すさらなる証拠が浮上した。新たな衛星画像からは、ベラルーシやクリミア半島、ロシア西部の複数の場所で軍のプレゼンスが一段と拡大していることがうかがえる。
ロシア軍は過去2週間の間にベラルーシに展開した。両国の国防相はこれについて、今月実施の大規模演習に備えた派遣だとしている。
新たな画像は米マクサー社が収集、分析したもの。マクサーは画像に付けた文章で、こうした配備は「活動と即応態勢の水準が上がっていることの表れ」だと説明した。
マクサーなどの衛星画像提供企業によると、調査の結果、ウクライナ国境から約240キロ以内にある既存のロシア軍訓練場や駐屯地がここ数カ月で拡張されたことが判明した。中には国境から数キロ以内に位置する施設もあるという。
クリミア半島の駐屯地の衛星写真/Maxar Technologies
マクサーは今回、クリミア半島にある軍事キャンプを撮影した昨年9月と今年1月後半の画像を比較。一連の画像には、テントが設営されるなど活動が大幅に増加した様子が写っている。
これは同キャンプの兵員収容態勢が整ったことを示唆するが、今のところ兵士が到着したという証拠はない。
マクサーはまた、複数の訓練場で実弾砲撃や機動訓練を含む訓練活動が確認されたと指摘した。
ロシアのヴォロネジにある訓練場。戦闘群や戦車などが見られる/Satellite image ©️2022 Maxar Technologies
同社の画像にはロシアの2カ所の訓練場にできた衝撃による穴が写っている。2カ所の訓練場のうち片方はウクライナ国境から約50キロ、もう片方は国境から約220キロに位置する。
ロシアとベラルーシを専門とする防衛アナリストのコンラッド・ムジカ氏は、ウクライナ周辺には現在、ロシア軍の大隊戦術群(BTG)が74~76個展開しているとの見方を示す。大隊戦術群は通常、約1000人の兵士と支援部隊で構成される。
ロシア・エリニャの衛星写真。機甲部隊や支援装置がみられる/Satellite image ©️2022 Maxar Technologies
ロシアは1月の第1週以降、東部軍管区からロシア西部やベラルーシに戦力を移動させており、「派遣規模は非常に大きい。おそらくBTG15~20個に上る」(ムジカ氏)という。
イスカンデル短距離弾道ミサイルが配備されているとみられるベラルーシ中央部の訓練場/Maxar Technologies
ムジカ氏はまた、ロシア陸軍がベラルーシとロシア国内のウクライナ隣接地域にイスカンデル短距離弾道ミサイルを擁する部隊を派遣したと指摘。ウクライナ隣接地域には少なくとも48基の発射台が配備されたと見ている。