香港(CNN) 中国の当局者数十人が、昨年7月に河南省で起きた洪水で死者数を過少報告し情報の報告を怠ったとして、更迭などの処分を受けた。
河南省鄭州市で発生した洪水では398人の死者・行方不明者が発生。市街区や地下鉄の駅が浸水し、車内や地下空間でおぼれる人や地滑りや家の倒壊に巻き込まれる人が出た。
中国共産党は災害対応の調査を進め21日に報告書を公開。市などの自治体に職務怠慢があったと結論付けた。
国営新華社通信によると、鄭州市当局は災害の死者・行方不明者の情報を隠したり、報告を遅らせたりして、最大139件の意図的な報告の懈怠(けたい)があったと認められた。
報告書によれば、河南省の別の部局でも、違法に虚偽の行方不明者数を報告し、報告の手順を妨害する行為が見られた。調査は党中央委員会や国務院が監督した。
中国のトップダウン式のシステムでは、世間の耳目を引く災害や対応の失敗で地元当局者が処分を受けるケースが多い。習近平(シーチンピン)政権下では、党の政策実行で自治体に対する圧力が高まり、問題隠しが時折起きる事態となっている。
今回の洪水では鄭州市の市長と3人の副市長、鄭州市党書記が更迭され、党内で重大な警告を受けた。警察は他に8人の身柄を拘束し、今後刑事訴追をする予定。
調査では、当局の災害対策準備が不十分で、「異常気象に対するリスク意識の重大な欠如」があったとも指摘。災害発生後も緊急対応を誤り迅速さに欠けたと述べ、不必要な役所仕事や形式主義が障害の原因になったとの見解を示した。
さらに急速な発展の中で軽視されたインフラや都市計画の問題も取り上げ、鄭州市の雨水管は2400キロと同規模の都市の約半分しかないと指摘した。
この洪水では鄭州市以外の市や村も被害が出て、河南省全体で1480万人近い人々が影響を受けた。