アラブ首長国連邦ドバイ(CNN) ヨルダン軍は27日、シリアからヨルダンに入国しようとした麻薬密輸業者27人を殺害したと発表した。
密輸業者は「武装集団に護衛されていた」とヨルダン軍は説明し、同集団は逃走してシリアに戻ったとしている。現場からは大量の薬物が押収された。
ヨルダン軍は国境地帯の複数地点で密輸業者と遭遇し、一斉摘発を行ったとしている。
押収した薬物の種類は現時点で分かっていない。現場での調査は雪のために遅れが出ているという。
ヨルダン当局によると、シリアから流入する麻薬の押収量はここ数年で増え続けている。国連は、シリアの麻薬密輸に関連した事案の増大に懸念を示していた。
軍の統計によると、2021年に押収された薬物は、20年の2倍に増大した。1月の押収量は月間で過去最多を記録する見通し。シリアからヨルダンに持ち込まれて押収された覚醒剤のカプタゴン錠は今月だけで500万錠を超えた。
カプタゴンは中東でアンフェタミンやメタンフェタミンの代用として使用される覚醒剤で、欧州連合(EU)と国境を接する一部の国でも使われている。もとは精神刺激薬フェネチリンを含有する医薬品の商品名だったが、今は合法的な製造は行われていない。しかし欧州の薬物監視当局によると、カプタゴンという名称の薬物は中東で頻繁に押収されている。
ヨルダン当局は、過激派組織イラク・シリア・イスラム国(ISIS)がテロ行為の資金とする目的でこの薬物を製造して売りさばいていると指摘。米国は15年、ISISが戦闘員にこの薬物を支給していると述べていた。