ブルキナファソ、軍が実権掌握を発表

支持者に手を振るカボレ大統領=15年12月1日/ISSOUF SANOGO/AFP/Getty Images

2022.01.25 Tue posted at 08:40 JST

ブルキナファソ・ワガドゥグ(CNN) 西アフリカのブルキナファソで24日、軍が国の実権を掌握したと発表した。カボレ大統領を追放し、政府と議会を解散、憲法を停止して、国境を封鎖したとしている。

陸軍将校が10人以上の兵士と並んで国営テレビを通じて発表した。国内の「治安状況の悪化継続」や国民を団結させる「政府の能力の欠如」を理由に大統領が追放されたとしている。

この将校は「MPSR」という知られていない団体の広報官を名乗っている。

クーデターを起こした勢力の幹部はCNNに対して、大統領は辞表に署名し、同国の「安全な場所」にとらわれていると述べた。

カボレ氏の所在は不明。24日午後にはカボレ氏のツイッターアカウントから、反乱勢力に武器を置くように呼びかけるメッセージが投稿された。

ツイートでは「我が国は困難なときを経験しようとしている。我々はまさにこのときに、民主主義の成果を保つ必要がある。武器を取った者にはより上位の国益の点から武器を置いてほしい。我々の矛盾は対話や相手の話を聞くことを通じて解決する必要がある」としている。

国連のグテーレス事務総長はカボレ氏の所在や状況の推移を見守っている。事務総長の広報官が明らかにした。

現地の記者によると、23日に首都ワガドゥグの大統領宮殿付近で戦闘が起きて以来、カボレ氏は姿を現していない。付近では銃声や、上空を飛ぶヘリコプターの音が聞こえたという。

兵士らはCNNに対し、イスラム教徒のジハード(聖戦)戦士による攻撃に対する政府対応に怒りを感じると語り、軍政の方がはるかに状況がよくなるとの考えを示した。

24日にワガドゥグで撮影された写真からは、軍の車両や兵士が国営テレビ局本部前に集まっている様子が見える。

西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は同日、ブルキナファソの政治と治安の状況を注視していると発表。大統領の身の安全について軍の責任を問うと述べ、兵士に対して「兵舎に戻り、共和制を維持し、当局と対話を通じた問題解決を図る」ように要求した。

首都にある軍基地の外にいる兵士=23日

ブルキナファソのフランス大使館はフランス国民に向けて、状況が混乱しているとして、日中は不必要な移動は控え、夜間は外出しないように呼びかけた。

同大使館によると、24日夜のエールフランスの2便は欠航となった。

ロイター通信によると、ブルキナファソではこの数カ月、市民や兵士が武装勢力に殺害される状況に不満が募っていた。こうした勢力は一部、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」や「アルカイダ」とのつながりがある。

ロイターによると、23日には兵士らを支持する抗議デモ隊が通りに現れ、カボレ氏の政党本部を荒らしたという。

政府は夜8時から朝5時半まで夜間外出禁止令を出し、学校は2日間休校となった。

西アフリカはこの1年半でマリやギニアでもクーデターが発生するなど、政治的に不安定な地となっている。ブルキナファソは金の産出で有名だが、同地域の最貧国の一つとなっている。

ロイターによると、ブルキナファソ軍はイスラム武装勢力により大きな損害を被っている。こうした勢力は国土の広範な地域を支配し、そうした地域の住民は厳格なイスラム法に従い暮らすことを余儀なくされている。

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