(CNN) 英イングランド南部のハンプシャーでこのほど、危険な干潟に迷い込んだ救助犬をボランティアがドローン(無人機)を使って助け出す出来事があった。おなかをすかせた犬をドローンからぶら下げたソーセージで誘い出し、安全な場所までたどり着かせた。
救助犬として働く雌のミリーは今月13日、散歩中に首輪が取れた状態となり、そのままいなくなってしまった。
心配した飼い主から知らせを受けた地元のボランティア団体、デンミード・ドローン・サーチ・アンド・レスキューは、ドローン1機を飛ばしてミリーを追跡。20歳のボランティア、ステファニ・デニスさんがCNNの取材に答えたところによると、ミリーは長い距離を移動した後、干潟の中で立ち往生しているところを発見されたという。
これらの干潟は満潮時に水があふれることもあると、デニスさんは話した。
ボランティアは当初、徒歩やカヤックでミリーに近づこうとした。沿岸警備隊や消防、警察も捕獲に協力しようとしたという。
しかしミリーは非常におびえていたため、人間が近づくことでさらに遠くへ離れ、かえって危険な状況に陥る恐れがあった。ミリーが逃げ出してからすでに3日が過ぎていた。
ここでボランティアの一人がひらめいた。ドローンからソーセージをぶら下げて、遠隔操作でミリーを安全な場所に誘い出せばいいのでは?
近隣の住民の女性がソーセージを用意すると申し出てくれた。調理中は重大な責任に圧倒されている様子だったが、出来上がったソーセージは非常においしそうだったとデニスさんは振り返る。
ソーセージをぶら下げるひもも、女性が提供してくれた。ひもの一方をドローン、一方をソーセージに結び付け、2~3メートルの長さでぶら下がるようにして飛ばした。
「通りかかった人たちが、何事かという様子で見ていた。とても笑えた」(デニスさん)
ドローンにぶら下がったソーセージが近づいてくると、ミリーはその匂いを嗅ぎ始め、捕まえようとした。
おなかをすかせていたミリーはソーセージに飛びつき、半分ほどちぎったという。その後、残ったソーセージを追いかけて干潟を抜け出し、安全な場所にたどり着いた。
ところが逃走劇はそこで終わらず、ミリーはさらに逃げ続けた。翌日に工業団地でようやく助け出され、飼い主との再会を果たした。
デニスさんは「みんな泣いたと思う。ミリーが家に帰ることができて本当に良かった」「地域が一つになったおかげでミリーは救われた」と語った。