(CNN) 南太平洋の島国トンガ沖で15日に起きた大規模な海底火山噴火で、島全体が火山灰に覆われた被災地の写真をニュージーランド軍が初めて公開した。現地ではこれまでに3人の死亡が確認されたが、通信の途絶が続き、被害の全容は分かっていない。
ニュージーランド国防軍がトンガ中部のハーパイ諸島を上空から撮影した写真では、樹木も住宅も全て厚い灰に覆われていた。
トンガタプ島にある首都ヌクアロファをとらえた衛星画像も、同じような光景を写し出していた。樹木や住宅が一面の火山灰に覆われ、倒壊しているように見える建物もあった。
トンガ沖の海底火山噴火を写した衛星画像=15日/CIRA/NOAA/Reuters
国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)によると、火山灰に加えて沿岸部では津波による大規模な被害が出ている。「特に噴火に近く、標高の低い島々が心配だ」「現時点でほとんど何も分かっていない」と関係者は危機感を募らせる。
支援国の当局者によると、トンガへの支援物資輸送は、首都の空港の滑走路を覆った火山灰に阻まれている。
ニュージーランドは18日に海軍艦2隻を派遣すると発表した。トンガ到着には3日かかる見通し。両艦にはヘリコプターや人道援助物資、救援物資を搭載する。
トンガは全域で甚大な被害が報告されている。トンガの人口は約10万人で、大半が本島のトンガタプ島に住む。国際援助団体セーブ・ザ・チルドレンによると、列島をまたいで住宅少なくとも100棟が損壊し、少なくとも50棟は全壊した。通信網が復旧すれば、その数はさらに増えることが予想される。
トンガとフィジーを結ぶ海底通信ケーブルは破損して、修理が始まるのは2月1日以降になる見通し。同ケーブルを運用するサザンクロス・ケーブルは18日、トンガと世界を結ぶデジタル接続は全て、このケーブルが重要な役割を担っていると説明した。
現地では沿岸部に津波が押し寄せて住宅の浸水や停電の被害が発生、少なくとも3人が死亡した。
トンガ首相府の18日の発表によると、死亡が確認されたのは英国籍の50歳の女性と、マンゴ島の65歳の女性、ノムカ島の49歳の男性の3人。
家族によると、英国籍のアンジェラ・グローバーさんは、波に押し流され、遺体で発見された。
グローバーさんは夫と共に首都ヌクアロファで動物保護団体を運営しており、津波が押し寄せる中で犬たちを助けようとしていたという。
専門家によると、15日に起きたフンガトンガ・フンガハーパイ海底火山の噴火は、1991年に起きたフィリピンのピナツボ火山噴火以来、最大の規模だった。
この噴火によって発生した高さ15メートルの津波が、本島トンガタプ島の西海岸を襲った。
首相府によると、マンゴ島では住宅が全滅し、フォノイフア島で残った住宅は2棟のみ。ノムカ島では壊滅的な被害が出ている。
トンガ・ノムカ島の空中写真=17日/New Zealand Defense Force/Getty Images
マンゴ、フォノイフア、ノムカの3島では被害の大きさを踏まえて救援活動を強化し、離島からの避難も始まった。
空の便は国内便、国際便とも運航を見合わせている。
噴火前と後のトンガの街並み