(CNN) 中央アジアのカザフスタン全土に広がった大規模な抗議デモによる死者は、9日までに少なくとも164人に上った。
国営テレビが同日、保健省の発表として伝えた。7日に発表された死者44人から大幅に増えている。
国営メディアによると、内務省はこれまでにデモ参加者少なくとも5135人を拘束したと発表した。一方、警察は暴力や殺人、強盗など125件の犯罪捜査に乗り出したという。
騒乱で建物などの被害も出ている/Valery Sharifulin/TASS/Getty Images
CNNは政府の発表について、独自に真偽を確認していない。
ロシア主導の軍事同盟、集団安全保障条約機構(CSTO)の総司令官は9日の記者会見で、同機構の部隊がカザフスタン国内への展開を完了し、作戦遂行態勢にあると述べた。
CSTOの部隊は5日、トカエフ大統領の要請を受けて同国へ派遣されていた。総司令官は、部隊が最大都市アルマトイやその近郊で、軍や政府などの重要施設を防護する任務に就いていると述べ、情勢が完全に安定するまで同国にとどまるとの見通しを示した。
国営メディアは、同国の治安機関、国家保安委員会(KNB)のマシモフ前議長ら著名な人物が、国家反逆の疑いで拘束されたと伝えている。
中央銀行は一時的に外国為替取引を停止した。金融機関も取引を停止しているが、ローンや年金、手当や給料の支払いは10日から全土で再開する見通しとされる。
欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表は8日の声明で、同国に広がる暴力行為を強く非難する一方、外部からの軍事支援は「カザフスタンの主権と独立、全市民の基本的権利」を尊重するべきだと強調した。