ジョコビッチ選手のファン、収容先のホテル前に集結し解放訴え 豪

収容先のホテル前に集まり、ジョコビッチ選手の解放を訴えるファン/William West/AFP/Getty Images

2022.01.08 Sat posted at 17:15 JST

豪メルボルン(CNN) 男子テニス世界ランキング1位、ノバク・ジョコビッチ選手(セルビア)が全豪オープンを前に入国ビザ(査証)を取り消され、メルボルン市内のホテルに留め置かれている件で、当局の措置に抗議するグループが7日、当該のホテルの前に集結した。参加者は「ノバクに自由を」、「ノバクにプレーさせろ」などと手書きしたプラカードを付けたラケットを持つなどして、ジョコビッチ選手をホテルから出すよう訴えた。

数十人規模の抗議グループの中には、セルビア人の文化団体に所属する人々の姿もあった。セルビア国旗を掲げて歌う彼らはジョコビッチ選手の拘束について、あまりに不当な処置であり、世界的アスリートが受けるべきものではないと認識している。

自身もジュニアのテニス選手としてプレーする17歳のセルビア系オーストラリア人の女性は、「なぜジョコビッチ選手が収容施設に入れられるのかわからない」「誰にでも選択の自由がある。ワクチンを打つか打たないかはその人が決めることだ」と話した。

ジョコビッチ選手は今週、全豪オープン出場のため豪州入りしたものの、政府によってビザを取り消された。モリソン首相は6日の記者会見で、同選手が入国時のワクチン接種要件に対する「正当な医学的免除を有していなかった」と説明していた。

ジョコビッチ選手は自らのワクチン接種状況を公表していないが、2020年4月にはワクチン接種とその義務化への反対を公言している。

抗議の参加者の中には、ジョコビッチ選手の拘束を機会ととらえ、ワクチン接種の義務化によって市民の自由がいかに抑制されているかを批判する人もいる。

ジョコビッチ選手が帰国するなら全豪オープンは見ないという女性は、「毎年観戦していたが、ワクチン義務化のせいで今年はできない」と語った。自身はワクチンを接種していないという。

別のマスク姿の参加者はCNNの取材に答えるのを控えたが、手にしたプラカードで、ジョコビッチ選手は「共産主義国家の人質」だと訴えていた。

ジョコビッチ選手や難民らの収容先となっているパーク・ホテルの外観

現場のホテルは以前、オーストラリア政府が新型コロナウイルス患者の隔離施設に使っていたもので、現在は難民や亡命希望者のための収容代替施設(APOD)として利用されている。

ホテル内には現時点で30人近くの難民が収容されており、周辺ではこれらの難民の解放を求める活動家が過去数カ月にわたって抗議行動を繰り広げてきた。

7日はこうした活動家とジョコビッチ選手の解放を求めるグループがともにホテル周辺に集まる事態となった。

現場にいた25歳の男性は、ワクチン反対派と難民の収容状況の両方に反発を覚えると説明。真の問題はワクチン未接種者をホテルに入れ、治療を受ける必要のある難民とともに過ごさせることだと指摘した。

そのうえでワクチンに否定的なジョコビッチ選手がオーストラリアで多くの人の怒りを買うのは当然だとの見方を示した。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。