バイデン氏、トランプ氏は民主主義の脅威と非難 議会襲撃から1年

連邦議会襲撃から1年を迎えた米国でバイデン大統領が演説した/JIM WATSON/AFP via Getty Images

2022.01.07 Fri posted at 09:39 JST

(CNN) 米議会議事堂襲撃事件から1年を迎えた6日、バイデン米大統領は議事堂で演説を行い、トランプ前大統領を力強く批判し、二度と暴動が起きてはならないと語った。

バイデン氏は1年前に議会を襲った暴徒の脅威や、トランプ氏周辺が主張し広まっている大統領選に関するうそから米国建国の精神を守ると誓った。米国の過去の歴史から重要な瞬間を拾い上げ、今回の襲撃は米国の歴史で現在起きている転換点を象徴するものだと位置付けた。演説は任期1年目で最も熱のこもったものの一つとなった。

バイデン氏は30分弱の演説の中で「米国史上初めて、大統領が選挙に負けただけでなく、暴徒が議事堂に達する中で平和的な権力移行を阻止しようとした。だが彼らは失敗した。この記念日に、我々はそうした攻撃が二度と起きないことを確実にする必要がある」と述べた。

トランプ氏に直接的に向けた言葉では「彼の傷ついた自尊心は、我々の民主主義や憲法より、彼自身にとってより重要なものとなっている。彼は敗北を受け入れられない」と語った。

バイデン氏は大統領就任後、前任者について直接話すことを避ける傾向があった。今回も直接の名指しは避け、「大統領経験者」という言葉を10回以上使った。

それでも演説はトランプ氏の選挙に関するうそや退任後の行動を辛らつに批判した。うそを広め、敗北の受け入れを拒否していると非難し、支持者に議事堂を襲うように扇動した責任を取らせる考えを示した。

バイデン氏は「ある大統領経験者は2020年の選挙に関するうそを並べ立て、広めた。彼がそうしたのは原則よりも権力に価値を認めているからであり、自国の利益、米国の利益よりも自分自身の利益をより重視しているからだ」と述べた。

昨年の大統領選の中心的なメッセージとなり、トランプ氏に対抗して出馬する理由にもなった「我々は米国の魂の闘いの中にいる」という言葉も再び強調した。

民主主義や「米国の約束」が危機にひんしているとも述べ、国民に対し「法の支配を支持し、民主主義の炎を守る」ように呼びかけた。

全米で投票権を守る必要性も訴え、トランプ氏やその支持者が「あなたの投票を抑圧し我々の選挙を転覆させ」ようとしていると非難。「それは間違っている。非民主主義だ。率直に言って、非米国的だ」と述べた。

演説に臨むバイデン大統領

議事堂では、バイデン氏の演説に続くさまざまな行事に民主党議員が参加した。下院と上院の議場では黙とうがささげられ、議員らは襲撃時の自身の経験を語った。

バイデン氏のコメントは、民主党が2つの投票権法案の上院通過を改めて目指そうとするタイミングに重なった。昨年の選挙が記録的な投票率となったことを受けて、共和党は全米で投票をより困難にする法制化を進めている。この2法案は共和党の事実上全員が反対しており、議会を通過できるか不透明だ。

バイデン氏は「歩を進め、米国の歴史の新たな章を記そう。1月6日は民主主義の終わりではなく、自由と公正の再興を示すのだから」と述べた。

演説後に記者団から、トランプ氏を追及する演説が国の傷を癒やすよりも分断を深めるとは考えなかったかと問われると、バイデン氏はトランプ氏を直接的に非難したことを防御。「傷を癒やすには傷の深さを認識する必要がある。装うことはできない。これは重要な事柄だ」「これに立ち向かわなければならない。それが偉大な国のすることだ。偉大な国は真実に向き合い、対処し、前進する」と語った。

議会襲撃から1年、バイデン氏が演説

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