(CNN) 「どこへも行かないクルーズ」に出航した大型客船が、新型コロナウイルス感染の不安から香港への寄港を命じられ、乗客乗員3000人以上が5日、船内で一時的に缶詰め状態となった。
クルーズ船の運航を行っているロイヤル・カリビアンはCNNに対し、新型コロナウイルスの検査後、乗客と乗員は5日夜に下船を許可されたと明らかにした。
ロイヤル・カリビアンが運航するクルーズ船「スペクトラム・オブ・ザ・シーズ」は、南シナ海をめぐるクルーズの途中だったが、乗船者のうち9人が新型コロナ陽性者の濃厚接触者と特定された。
香港政府の発表によると、同船は5日に帰港し、濃厚接触者9人は政府の隔離施設に送られた。
約2500人の乗客と1200人の乗員は、船内に残って新型コロナの検査を受けるよう指示されている。
ロイヤル・カリビアンによれば、濃厚接触者については4日に連絡を受け、検査を行って隔離した。PCR検査の結果は9人とも陰性だったと伝えられている。
同船の乗客と乗員には、ワクチン接種や健康宣言書の提出、乗船前48時間以内に受けた検査の陰性証明の提示が求められていた。ワクチン未接種の子どもは陰性証明と健康宣言書を提出する必要があった。
香港政府によると、濃厚接触者9人は、オミクロン変異株の陽性者と接触した可能性がある。
香港では先週、オミクロン株の症例が約3カ月ぶりに報告されていた。
香港はこれまで厳格な国境規制や隔離規定を徹底させてきた。しかしそうした対策をすり抜けてオミクロン株の症例が確認されたことで、政府は渡航規制をさらに強化。オーストラリア、カナダ、フランス、インド、パキスタン、フィリピン、米国、英国からの国際便は8日から禁止される。
今後のどこへも行かないクルーズも、当面は中止になった。