ホリデーに必須のクリームチーズが品薄、物流混乱にサイバー攻撃が追い打ち

ホリデーシーズンを前に全米でクリームチーズが品薄に陥っている/Adobe Stock

2021.12.20 Mon posted at 17:15 JST

ニューヨーク(CNN Business) 米国でパイプラインやフェリーボート、食肉加工業者、さらには警察などに対するサイバー攻撃が相次いだ今年。次の標的はクリームチーズだった。

ブルームバーグ通信の報道によると、米国のチーズ製造最大手シュライバーフーズに対する10月のサイバー攻撃が一因で、ホリデーシーズンを前に全米でクリームチーズが品薄に陥っている。

シュライバーフーズは工場や配送センターがサイバー攻撃を受け、数日間にわたって全面的な稼働ができない状態が続いた。この攻撃は、感謝祭やクリスマスなどのホリデーシーズンに向けて、製造がピークを迎える時期と重なった。

シュライバーフーズはスライスチーズやヨーグルト、クリームチーズといった乳製品の大手で、年間の売り上げは50億ドル(約5680億円)以上。

ただでさえクリームチーズのメーカーは全社が、このサイバー攻撃以前から、人手不足やサプライチェーン(供給網)の混乱による原材料、包装材料、トラックなどの不足のために、供給が追い付かない状況に陥っていた。

クリームチーズは他の製品と違って大量の在庫を蓄えることができず、米国の石油やカナダのメープルシロップのような戦略的備蓄も存在しない。

サイバー攻撃が追い打ちをかけたのは確かだが、クリームチーズの品薄を引き起こした最大の要因は物流網の混乱だったとシュライバーフーズの広報担当者は指摘する。

シュライバーフーズによれば、品薄状態の解決までには「もう少し」時間がかかるという

シュライバーフーズによると、品薄状態はそれほど長くは続かない見通しだが、解決までには「もう少し」時間がかかるとしている。

2020年のクリームチーズ需要は、コロナ禍で自宅でチーズケーキを焼く人が増えた影響で、前年より18%増えた。食品大手クラフトによれば、21年も同じような状況だった。

クリームチーズの品薄を受け、創造性を発揮するメーカーや飲食店もある。「フィラデルフィアクリームチーズ」で知られるクラフトは、自家製チーズケーキを作るためのクリームチーズが入手できないという人のために、別のデザートの購入代金を負担するキャンペーンを展開した。専用サイトから申し込んだ人の中から1万8000人に、20ドルを贈呈するとしている。

例年であれば年間1800トン以上のクリームチーズを使用するニューヨークのチーズケーキ店は、定番商品の断続的な生産中止に追い込まれた。報道によると、ニューヨーク市内のベーグル店も軒並み、供給確保に苦労している。

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