スーパー台風、フィリピン直撃 数万人が避難、洪水や土砂崩れに警戒

避難所となったスポーツ施設内で眠る住民ら=16日、フィリピン南部スリガオ/Roel Catoto//AFP/Getty Images

2021.12.17 Fri posted at 10:29 JST

(CNN) 猛烈な勢力に発達したスーパー台風「ライ=フィリピン名オデット」が現地時間の16日午後、フィリピン東部を直撃した。被災地では数日前から豪雨が続き、全土で洪水被害の拡大が懸念されている。

台風ライは、わずか24時間で「カテゴリー1」から最大の「カテゴリー5」の勢力に発達。観光地として有名な東部のシャルガオ島に上陸した時点で、風速は約72メートル、最大瞬間風速は83メートルを超えていた。

フィリピン国家災害リスク軽減・管理評議会(NDRRMC)は16日、約19万8000人が自宅から政府の避難所に避難していることを明らかにした。


住民を救助する隊員=16日、フィリピン南部カガヤンデオロ/Philippine Coast Guard/AP

現地では数日前から大雨が続いており、台風の上陸に備えて多くの住民が避難していた。中部の東ミサミス州では14日に河川が氾濫(はんらん)し、道路の冠水や住宅浸水の被害が広がっている。

スーパー台風はフィリピン中部から南部を縦断する見通しで、ミンダナオ州北端のスリガオ地域では最悪の状況が予想されるほか、2000万人以上が暮らす中部のビサヤ地方も直撃を受ける見通し。

国営フィリピン通信によると、スリガオ地域では15日夕までに2600人以上が避難した。

一方、東ビサヤ地方では4万5000人あまりが政府の避難所に身を寄せている。

東ビサヤ地方サマル州郊外のタクロバン市でも数百人が避難した。住民の多くは、2013年にフィリピンで6000人以上の死者を出したスーパー台風「ヨランダ」を経験していた。

避難所に到着した住民ら=16日、フィリピン・スリガオ

現地で活動する人道支援団体の代表は、「今回の台風が11年の台風や13年の台風と同じ進路をたどっていることが心配だ」としながらも、「私たちは過去の災害で多くを学び、多くの災害対策を整えた」と話す。

その上で、漁師や貧困世帯が多い海岸沿いの小さな集落に政府の発表が届いていなかったり、住民が避難できなかったりすることが最も懸念されると言い添えた。

鉱山地球科学局によると、これまでに降った豪雨のために土壌が不安定になっており、台風の進路上にある数千の集落が、洪水や土砂崩れの危険にさらされている。


避難所となったスポーツ施設内で眠る住民ら=16日、フィリピン南部スリガオ/Roel Catoto//AFP/Getty Images

空の便は軒並み欠航となり、運輸当局はフィリピン中部と南部で海上と陸上の交通を禁止。各地の港湾で数千人が足止めされている。

人道支援団体などは地元自治体と連携して避難支援や物資の供給などを行っている。

今年、フィリピンを直撃した台風は、スーパー台風ライが15番目だった。赤十字によると、昨年末には特に壊滅的な台風が相次ぎ、何百万人もの住民がまだ自宅や生活を再建する途上にある。

スーパー台風、フィリピン直撃 数万人が避難

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