(CNN) 太古の空を飛んでいた爬虫(はちゅう)類「翼竜」の中で、また鳥類を含む空飛ぶ動物の中でも史上最大とされる「ケツァルコアトルス」は、巨大な体でどうやって空へ飛び立ったのか。米国の研究者らがそのなぞに迫った。
米テキサス大学オースティン校で古代の脊椎(せきつい)動物を研究するマシュー・ブラウン氏らのチームが、数年間に及んだ研究の成果を専門誌に発表した。
チームによると、ケツァルコアトルスはまず2.4メートルほどの距離を大きくジャンプし、その勢いで空を飛んでいた可能性が高いことが分かったという。
ケツァルコアトルスは翼を広げた幅が12メートルにも達したとされる。1971年にテキサス大の大学院生が、テキサス州のビッグベンド国立公園で初めて化石を発見した。
それから50年近くの間、飛び方のなぞが解けなかったのは、化石の発掘がなかなか進まなかったためだと、ブラウン氏は指摘する。
ケツァルコアトルスの骨はほかの空飛ぶ動物と同様、体を軽くするために中が空洞になっている。同氏は「ポテトチップのような骨がとても硬い岩に埋まっている。その骨を壊さずに取り出さなければならない」と、発掘作業の難しさを説明した。
過去半世紀に、これより小さい新たな翼竜の化石も2種類、ほぼ完全な形で見つかっている。同じケツァルコアトルスの幼体(子ども)なのか、それとも別の種なのか。研究者らは化石を正確に計測し、その数値をコンピューターに入力して形の違いを探った。
2種類のうち大きいほうは、くちばしが長くて細く、先がとがっていた。そのくちばしで水辺のカニやミミズを食べ、単独で行動することが多かったとみられる。
小さいほうはくちばしの先が丸く、大きな集団で動いていたようだ。1カ所の発掘で約30体の化石が発見された。
一方、最初に見つかったケツァルコアトルスの化石は、まだ1体分の一部しか見つかっていない。
ブラウン氏の目標のひとつは、当局の許可を得てビッグベンド国立公園の発掘現場に入り、この1体の残りの化石を掘り出すことだという。「そうすれば非常に多くの情報が得られる。私たちが新たな2種類を基に推測したケツァルコアトルスの姿について、色々と確かめることができるだろう」と、同氏は話している。