(CNN) 英国の首相や閣僚が新型コロナウイルスの新たな変異株、オミクロン株の「高波」に直面していると国民に警告した。ロンドンを始め英国全体で感染が急拡大している。
ジョンソン首相は13日、オミクロン株の感染者1人の死亡を確認した。英国で同株の死者が確認されたのは初めて。
ジャビド保健相は同日の議会で、英国でこれまでにオミクロン株の感染を4713例確認したと報告した。1日の感染者数は約20万人と推計している。
同氏によると、オミクロン株はイングランドで症例数の20%を超え、ロンドンでは44%超に達した。「今後48時間で首都では支配的な変異株になると予想する」としている。
同氏はニュース専門局スカイニュースの番組で、オミクロン株の感染数が「2~3日で2倍に増えている」と指摘。感染による症状がより軽症で収まるかどうかの判断は時期尚早とした。
英政府は12日、新型コロナの警戒レベルを引き上げ、ワクチンの追加接種のペースを速める方針を打ち出した。
ジャビド氏は「これが意味するのは我々が感染の高波に直面し、再びワクチンとウイルスの競争の中にいるということだ」と説明した。ジョンソン氏も12日のテレビ演説で高波という表現を使っていた。
ジョンソン氏はすべての成人に3回目のワクチン接種を今月末までに提供する新たな目標を発表。従来の計画より1カ月早い設定となる。ジョンソン氏は初期のデータを引用して、2度の接種による有効性はオミクロン株の前では減退し、追加接種で十分な水準の防御が可能になると述べた。
ジャビド氏によると、オミクロン株で入院した人は10人。保健安全保障庁によると、英国全土で18~85歳が感染し、その大半は2回接種を受けた人となっている。
13日からは市民に在宅勤務を要請する新たな指針も施行された。商店や公共交通機関ではマスク着用義務が復活し、大規模イベントの参加者はワクチン接種か陰性の証明の提示が求められる。
ジャビド氏は同日、将来的には3回の接種が接種証明に必要となるだろうとの見通しを示した。ただ、導入の時期は示さなかった。
こうした一連の規制策は、過去数カ月の方針からの大きな転換となる。他の欧州諸国がワクチンパスポートやマスク着用義務といった長期的な緩和策を導入する中、英国はそうした対策を避けていた。
英国襲うオミクロン株の「高波」、2~3日で感染者倍増