ウミガメやアザラシの赤ちゃん、暴風雨で海岸に打ち上げ 英

暴風雨の影響で、英国の海岸に多数のアザラシの赤ちゃんや希少種のウミガメが打ち上げられている/Courtesy Em Mayman BDMLR

2021.12.06 Mon posted at 17:30 JST

(CNN) 英国で3人の死者を出した暴風雨「アルウェン」の影響で、希少種のウミガメ1匹とアザラシの赤ちゃん数十匹が海岸に打ち上げられている。

アルウェンの暴風は所によって風速40キロを超え、海洋生物は生息地から遠く離れた場所に押し流された。

希少種のケンプヒメウミガメは、生息地のメキシコ湾から7500キロ以上離れた英ウェールズ北部のターラクル海岸に漂着した。

保護団体によると、ケンプヒメウミガメはウミガメの中で最も小型で、最も深刻な絶滅の危機に瀕している。

ウェールズのカーディガンで活動する海洋環境監視員のマシュー・ウェストフィールド氏がこのウミガメを発見したのは、暴風雨がピークに達した直後の11月28日だった

保護されたケンプヒメウミガメの「タリー」

ウェストフィールド氏はこのウミガメについて、1週間ほど海上を漂流していたところを暴風雨に襲われ、英国の海岸に押し流されたと推測する。

発見時は死んだように見えていたが、ウミガメは冷たい水の中にいるとショック状態に陥って体の機能が停止することがある。

年齢は推定2~3歳くらいで性別は不明。英国でケンプヒメウミガメが発見されるのは極めてまれで、漂着した記録が残るのは1748年以来、72匹のみ。そのうち生きていたのは27匹のみだった。

今回漂着したウミガメは「タリー」と命名された。ウェールズの海洋動物園で保護され、保育器の中で徐々に温度を上げながら継続的な経過観察を受けている。発見時は実質的に死んだような状態だったが、今は非常に元気になっているという。

アルウェンの暴風雨で押し流された海洋生物は希少種のウミガメだけではない。何十匹ものアザラシの赤ちゃんが、多くは栄養不良状態で、英国の海岸に打ち上げられた。

保護されたアザラシの赤ちゃん。「デイモス」と名付けられた

英海洋生物保護団体の時間外コーディネーター、エム・メイマン氏によると、今回の暴風雨のためにアザラシの赤ちゃんが打ち上げられたという報告は増えている。

生後数日から数週間しかたっていない赤ちゃんも多く、必要な体脂肪をたくわえる前に、未成熟な状態で母親から引き離されたと思われる。

メイマン氏は「赤ちゃんの多くは栄養不良状態で、一部は出生時の体重約13キロを下回っていた。生後一度も母親から授乳してもらう機会がなかったことをうかがわせる。運が良かった数匹は、良好な体重でけがはほとんどまたは全くなかった」と説明する。

同氏の団体には、英各地から救助に関する通報が既に100件近く寄せられている。2020年の通報件数は過去最高の2000件を超えていたが、今年はその記録を更新する見通しだという。

治療可能なアザラシの赤ちゃんは保護施設に送られ、体重が増えて海に放せる状態になるまで経過観察が続けられる。一方で、重症を負った赤ちゃんや元気がなくなった赤ちゃんに対応するボランティアは、非常につらい思いをすることもあるとメイマン氏は打ち明けた。

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