(CNN) 国際オリンピック委員会(IOC)は2日、中国元高官による性的暴行を訴えたテニス選手の彭帥(ポンショワイ)さんと2度目のビデオ通話を1日に行ったことを明らかにした。この中で彭さんは自分が安全で元気なことを「改めて確認」しつつ、現在は「難しい状況」に置かれているとの認識を示したという。
11月2日付のSNSへの投稿のスクリーンショットによると、中国有数の知名度を誇るスター選手である彭さんは、張高麗(チャンカオリー)前副首相から同氏宅で性行為を強要されたと訴えた。投稿はその後、削除された。
告発後、彭さんは公の場から2週間以上姿を消した。女子テニス界からは、彭さんの所在の説明と張氏に対する告発への徹底調査を求める声が上がっていた。
IOCは先月21日の声明で、バッハ会長が中国スポーツ当局者やIOC関係者を交えて彭さんと30分間のビデオ通話を行ったと明らかにした。通話中の彭さんは元気で、リラックスしているように見えたという。また「プライバシーを尊重してほしい」と語っていたともしている。
IOCはビデオ通話がどのように実施されたのか説明しなかった。当該の動画は一般に公開されていない。
今回の2度目のビデオ通話について、IOCは彭さんに対する「広範な支援」を申し出たと発表。定期的に本人と連絡を取ると約束したほか、「来年1月に個別の会合を持つことですでに合意した」と付け加えた。
またIOCはCNNに対し、2度目のビデオ通話の映像を一切提供しないと告げた。彭さんの安全への懸念や、自由な発言を許されているのかどうかについて懐疑的な見方があることを理由に挙げた。
一方、女子テニス協会(WTA)のスティーブ・サイモン会長兼最高経営責任者(CEO)は1日、香港を含む中国でのWTAの全トーナメントを即時停止すると発表した。彭さんの告発をめぐり、中国当局の透明性が欠如していることを踏まえた対応だと述べた。
WTAの広報担当者は2日、CNNに対し、彭さんから3通目となる電子メールが届いたと明らかにした。同日、中国国営メディアと関わりのある記者が「確認済みの情報源」からの引用としてツイッターに投稿したところによると、彭さんの電子メールはWTAの不当な決定に対する衝撃を表明する内容だったという。
WTAの広報担当者は、電子メールに反応する形で上記の決定を支持すると明言。中国でのトーナメントを即時停止する意向を強調した。