バルバドス・ブリッジタウン(CNN) カリブ海の島国バルバドスが、英国のエリザベス女王(95)を君主とする立憲君主制を廃止し、共和制に移行する。
かつて英国の植民地だったバルバドス(人口約30万)は、1966年に独立したが、共和制に移行する計画を昨年9月に復活させた。サンドラ・メイソン総督(73)は「植民地だった過去から完全離脱する時が来た」と宣言していた。
メイソン氏は29日夜に行われる式典で、共和国の初代大統領に宣誓就任する。国会は先月、メイソン氏を大統領に選出した。
式典には、英連邦の未来の君主となる英国のチャールズ皇太子も出席する。英王室によると、チャールズ皇太子はバルバドスのミア・モトリー首相から来賓として招かれ、式典に参列する。
英女王を君主とする立憲君主制を廃止するのは、1992年のモーリシャス以来。モーリシャスと同様、バルバドスも英連邦には残存する。
バルバドスと英国との関係は、最初の英国船がバルバドスに到達した約400年前にさかのぼる。英キングス・カレッジ・ロンドンのリチャード・ドレイトン教授によると、1627年に入植が始まって英国の最も古い植民地となり、1966年まで英国による統治が続いた。
17~18世紀にかけてのイングランドでは、多くがバルバドスからの砂糖や奴隷で巨額の富を蓄えた。
「イングランドが『ニグロ』と呼ぶ人たちの権利と、そうでない人たちの権利を区別する法律を始めて通過させたのはバルバドスだった。バルバドスの先例が、ジャマイカなどのカリブ海諸国に引き継がれた」とドレイトン教授は解説する。
バルバドスの共和制移行を受け、ジャマイカなどのカリブ海諸国でも、英君主からの離脱に向けた機運が高まると同教授らは予想している。