台湾から中国へ逃亡の殺人事件容疑者、現地の隔離措置で身動きとれず

台湾から逃亡した容疑者が隔離中の中国・厦門市/Jiang Kehong/Xinhua/Getty Images

2021.11.27 Sat posted at 14:30 JST

香港(CNN) 台湾で男性1人を射殺した後中国へ逃れたとみられる容疑者が、現地の隔離措置によりホテルで「缶詰め」となったため、難なく身柄を確保される見通しであることが27日までに分かった。感染抑止を目的とした厳格な隔離措置が、逃亡犯の逮捕にも一役買う形になりそうだ。

新型コロナのパンデミック(世界的大流行)以降、中国は世界で最も厳しい部類の国境規制を実施している。観光客から学生まで、中国本土への外国からの渡航はおおむね禁止され、帰国する中国国民など入国を認められた一部の人々にも、1カ所に集められての隔離措置が最低14日間義務付けられる。

30代の上記の容疑者は22日、台湾・新北市で45歳の男性に向かって発砲した疑いがもたれている。台湾中央通信社(CNA)が伝えた。

地元警察によると被害者は首に2発の弾丸を受け、その後病院で死亡が確認された。発砲の通報があったのは現地時間の午前8時ごろだったという。

報道によれば容疑者は乗用車などを使って桃園国際空港へ移動。正午ごろの便に搭乗し中国本土へ向かったものの、厦門に到着後、現地のホテルに隔離されたという。

台湾犯罪捜査局(CIB)は25日、CNNの取材に答え、容疑者の送還について中国の法執行機関の協力を仰いでいると説明した。

捜査の目をくらますため、容疑者は2度にわたり衣服を変えていたという

CNAは中国公安部がCIBからの送還要請を受け取ったと伝えている。

CIBは中国当局と交渉中だとして、送還の進展に関するコメントを控えた。

容疑者の中国への逃亡が中国国営メディアでも報じられたのを受け、同国版ツイッター「微博(ウェイボー)」では関連する投稿の閲覧回数がこれまで計3億回近くに達している。

あるユーザーは「(容疑者は)台湾警察の逮捕は免れても、中国本土の防疫対策からは逃れることができない」と書き込んだ。

また中国政府が台湾の統治権を主張する機会になり得るとして、事件の裁判が中国本土で行われることを期待する声も上がった。

中国国務院台湾事務弁公室の報道官は24日の記者会見で、銃撃事件の報道に言及。ただ詳細については明らかにせず、「現在詳しい状況の裏付けを行っている」と述べるにとどめた。

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