ドイツ、200万人の労働者対象に25%の賃上げへ

最低賃金の値上げを訴える看板=8月11日、ドイツ・ベルリンにある社会民主党の本部前/Kay Nietfeld/picture alliance/Getty Images

2021.11.26 Fri posted at 12:37 JST

ロンドン(CNN Business) 欧州最大の経済規模を持つドイツで、約200万人の労働者の賃金が大幅に上がる見通しとなった。

同国では24日、3政党が新政権の樹立で合意。長期にわたる連立交渉を経て、中道左派、社会民主党のオラフ・ショルツ氏がメルケル首相の後任となることが決まった。

連立合意の一部として、ドイツは最低賃金をこれまでの時給9.6ユーロ(約1240円)から12ユーロに引き上げる計画を打ち出している。

INGのエコノミスト、カーステン・ブルゼスキ氏によれば、この措置は最低賃金で働く国内の労働者200万人近くの収入を押し上げる可能性がある。こうした労働者は全体の約5%を占めており、「大きな影響をもたらすのは明らか」だという。

最低賃金は来年7月に10.45ユーロまで引き上げられることがすでに決まっていた。今回の連立合意では、新たな引き上げがいつ実施されるのか明言していない。

ドイツ社会民主党(SPD)のオラフ・ショルツ氏

UBSのエコノミスト、フェリックス・ヒュフナー氏は、この措置によってドイツ経済全体の賃金の伸びに弾みがつくはずと指摘する一方、賃金上昇圧力が一段と広がる可能性もあると警戒感を示した。

タカ派で知られるドイツの中央銀行は今週、最低賃金引き上げを公然と批判する異例の行動に踏み切った。高賃金労働者にも影響が波及することに懸念を表明している。

世界中のエコノミストや政策立案者は、賃金上昇をインフレの重要な要素として注視している。ドイツの10月のインフレ率は4.5%。エネルギー価格や食費の高騰を受け、約30年ぶりの高水準を記録した。

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